概要情報
事件番号・通称事件名 |
最高裁令和2年(行ツ)第244号・令和2年(行ヒ)第279号 |
上告人兼申立人 |
ユニオンX(「組合X」) |
被上告人兼相手方 |
国 |
同補助参加人 |
学校法人Z(「法人Z」) |
決定年月日 |
令和3年1月19日 |
決定区分 |
上告棄却・上告不受理 |
重要度 |
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事件概要 |
1 会社Yに雇用され、法人Zから会社Yが受託した法人Zの設置する大学の保安警備業務に従事していたAは、法人Zの女性職員に性的嫌がらせ行為を行った旨の苦情が法人Zから会社Yに寄せられたことなどを理由として、会社Yから解雇された。申立外組合BがAの解雇撤回や謝罪を求める団体交渉を行い、Aが地位確認訴訟を提起したところ、当該解雇は撤回されたが、職場復帰や謝罪等に関する団体交渉では合意に至らなかった。その後、Aは組合Bに脱退届を提出し、組合Xに加入した。
2 組合Xは会社Yと法人Zに対し、Aの解雇に関する金銭解決や謝罪等に係る団体交渉を申し入れたが、会社YはAが労働組合に二重加盟しているおそれがあり、交渉権限の調整・統一がされていないとして、また、法人ZはAの使用者に当たらないとして、それぞれ団体交渉に応じなかった。
3 本件は、会社Yと法人Zが上記の団体交渉に応じなかったことが不当労働行為に当たるとして、救済申立てがあった事件である。
4 東京都労委は、会社Yに対して、団体交渉を拒否したことには正当な理由がないとして、誠実に団体交渉に応じるよう命じたが、その余の組合Xの申立てを棄却し、また、法人Zに対してはAの解雇問題について法人Zは使用者には当たらないとして、組合Xの申立てを棄却した。
5 これを不服として、組合Xは、会社Yと法人Zを被申立人として、また、会社Yは、組合Xを被申立人として、それぞれ再審査申立てを行った。その後、会社Yは再審査申立てを取り下げ、また、組合Xは会社Yに対する再審査申立てを取り下げたことにより、組合Xの法人Zに対する再審査申立てのみが審査の対象となった。中労委は、法人Zは使用者には当たらないと判断し、組合Xの再審査申立てを棄却した。
6 組合Xは、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、組合Xの請求を棄却した。
7 組合Xは、これを不服として、東京高裁に控訴したが、同高裁は、組合Xの控訴を棄却した。
8 組合Xは、これを不服として、最高裁に上告提起及び上告受理申立てをしたが、最高裁は、組合Xの上告を棄却するとともに、上告審として受理しない旨の決定を行った。 |
決定主文 |
1 本件上告を棄却する。
2 本件を上告審として受理しない。
3 上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。 |
決定の要旨 |
1 上告について
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲及び理由の不備をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
2 上告受理申立てについて
本件申立ての理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。 |
その他 |
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