労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 ファミリーマート 
事件番号 都労委平成24年不第96号 
申立人 ファミリーマート加盟店ユニオン 
被申立人 株式会社ファミリーマート 
命令年月日 平成27年3月17日 
命令区分 全部救済 
重要度  
事件概要  被申立人会社との間でフランチャイズ契約を締結している加盟者であり、加盟者の運営するコンビニエンスストアの店長を務めているX1らは申立人組合を結成し、組合は会社に対し、会社が加盟者との再契約の可否を決定する際の判断基準を議題とする団交を申し入れた。本件は、①加盟者は労組法上の労働者に当たるか否か、②上記の団交について、会社が個々の加盟者と話合いを行うと回答し、団交に応じていないことは正当な理由のない団交拒否に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労委は会社に対し、誠実団交応諾、文書交付及び履行報告を命じた。 
命令主文 1 被申立人株式会社ファミリーマートは、申立人ファミリーマート加盟店ユニオンが平成24年9月4日付け及び10月2日付けで申し入れた、同ユニオンの組合員と被申立人会社とのフランチャイズ契約の再契約の可否を決定する具体的な判断基準についての団体交渉を拒否してはならず、速やかに、かつ、誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
記(省略)
3 被申立人会社は、前各項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。 
判断の要旨 1 本件における加盟者は労組法上の労働者に当たるか
 被申立人会社は、フランチャイズ契約はライセンス契約であって、労務供給契約ではなく、加盟者は別個独立のコンビニエンスストアを事業経営しているのであるから、労組法3条の適用の前提を欠く旨主張する。
 しかし、フランチャイズ契約の形式であっても、その実態においてフランチャイジーがフランチャイザーに労務を提供していると評価できる場合もあり得るのであるから、フランチャイズ契約の形式であることのみをもって同条の「賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」に該当する余地がないとすることはできない。
 本件においては、会社はフランチャイズ契約締結の際に加盟者に対し、店舗における就業時間を「標準就業時間」として示し、店舗において加盟者本人による労働力の提供を期待している。そして、実際、加盟者は店長として相当時間業務に従事しており、その作業は会社が作成した詳細なマニュアルに基づいて処理することが求められている。
 その他の点も含め、実態からみると、加盟者は会社に対して労務を提供していたというべきであり、フランチャイズ契約という形式のみをもって労組法の適用を欠くということにはならないのであるから、会社の主張は採用することができない。
 そして、加盟者が同法上の労働者に当たるか否かは、同法の趣旨及び性質に照らし、会社と加盟者との間の関係において、①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性、④業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束、⑦顕著な事業者性等の諸事情があるか否かを総合的に考慮して判断すべきである。
 これらの点について検討すると、本件における加盟者は、①会社の業務遂行に不可欠ないし枢要な労働力として会社の事業組織に組み入れられており、②会社がフランチャイズ契約の内容を一方的・定型的に決定しているということができ、③加盟者の得る金員は労務の供給に対する対価又はそれに類する収入としての性格を有することから、報酬の労務対価性が認められ、④実態上、会社からの業務の依頼に対してこれに応ずべき関係にあり、⑤会社の指揮監督の下に労務を提供していると広い意味で解することができ、その労務の提供については一定の拘束を受けているということができる一方、⑥顕著な事業者性を認めることはできない。これらの諸事情を総合的に勘案すれば、本件における加盟者は会社との関係において労組法上の労働者に当たると解するのが相当である。
2 会社が団交に応じていないことは正当な理由のない団交拒否に当たるか否かについて
 本件における団交申入れ事項は、組合員と会社とのフランチャイズ契約の再契約の可否の基準であり、それは、労務供給者である組合員の生計の維持に直結する労務供給ないし就業機会の継続の可否に係るもので、組合員の労働条件ないし経済的地位に関する事項であり、かつ、会社が使用者としての立場で実質的に決定又は支配できるものであるから、義務的団交事項に当たると解するのが相当である。
 したがって、会社が団交に応じていないことは、正当な理由のない団交拒否に該当する。 
掲載文献  

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顛末情報
事件番号/行訴番号命令区分/判決区分命令年月日/判決年月日
中労委平成27 年(不再)第13号取消、棄却平成31年2月6日
東京地裁令和元年(行ウ)第459号 棄却 令和5年5月25日
 
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