事件名 |
大阪広域生コンクリート協同組合外7社 |
事件番号 |
中労委平成25年(不再)第67/68号 |
再審査申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 |
再審査申立人 |
日本労働組合総連合会全国交通運輸労働組合総連合・関西地方総支部
生コン産業労働組合 |
再審査申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方大阪支部 |
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併せて、「組合ら」 |
再審査被申立人 |
① 大阪広域生コンクリート協同組合(広域協) |
再審査被申立人 |
② 宇部三菱セメント株式会社 |
再審査被申立人 |
③ 住友大阪セメント株式会社 |
再審査被申立人 |
④ 太平洋セメント株式会社 |
再審査被申立人 |
⑤ 株式会社トクヤマ |
再審査被申立人 |
⑥ 麻生セメント株式会社 |
再審査被申立人 |
⑦ 宇部興産株式会社 |
再審査被申立人 |
⑧ 三菱マテリアル株式会社 |
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(②~⑥を併せて「5社」、⑦・⑧を併せて「2社」、5社及び2社
を併せて「7社」) |
命令年月日 |
平成26年12月3日 |
命令区分 |
取消・棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、①広域協及び5社が、組合らの平成23年9月7日又は8日付け文書による各団交申入れに対し、②2社が、組合らの平成24年7月20日付け文書による各団交申
入れに対し、組合らと労使関係にないことなどを理由としていずれも応じなかったことが労組法第7条第2号に該当する不当労働
行為であるとして、 救済申立てがあった事件である(以下、広域協及び5社に対する申立てを
「第1事件」、2社に対する申立てを 「第2事件」)。
2 初審大阪府労働委員会は、①第1事件について、広域協及び5社は組合員の労組法上の使用者に該当しないとして、また、②
第2事件について、2社は組合員の労組法上の使用者に該当しないとして、それぞれ組合らの救済申立てを却下したところ、組合
らは、各事件についての初審決定を不服として、それぞれ再審査を申し立てた。当委員会は、平成26年2月5日、両事件の審査
を併合した。
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命令主文 |
第1事件及び第2事件に係るそれぞれの初審における却下決定を取
り消し、 両事件に係る各救済申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 広域協は、組合員の労組法第7条の使用者に当たるか。
(1) 広域協は、組合員の労働契約上の雇用主ではない。
(2)
広域協は、共同販売する生コンの価格及び出荷量全体に対する構成員各社への割り当てを決定していることから、構成員の経営に一定の影響力を有しているとみることができる
が、このことにより組合員の基本的な労働条件等に対して雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有しているとは
いえない。
(3) 大阪兵庫生コン経営者会(「経営者会」)は、大阪府及び兵庫県を含む2府4県の生コン製造会社等を会員と
し、企業外の労働組合を有する会員から委任を受けて、団体交渉を行っている。
ア 組合らは、経営者会の理事等の役員に広域協の執行部が参加していること等から、経営者会は広域協の労務交渉部門であ
る旨を主張する。
しかし、経営者会の会員には、広域協以外の協同組合に加入する生コン製造会社もおり、広域協の全構成員に占める同会の会員
の割合も約3割であったこと等から、両者は別個独立の団体であると認められる。
また、平成23年9月当時、広域協の理事26名のうち、経営者会の役員を兼務する2名が、組合らとの間で組合員の労働条件や待遇の決定に関与していたといった事情は立証さ
れていないこと等から、経営者会が広域協の労務交渉部門である とはいえない。
イ 組合らは、経営者会が広域協の決定に従って組合らと交渉し、交渉の結果を実行するのも広域協であるから、
広域協が組合員の労働条件について現実的かつ具体的な支配力を有すると主張する。
確かに、生コン工場の土曜稼働及びシュート(ミキサー車から生コンを排出する装置)口の洗浄の件については、
組合らと経営者会との間で締結された協定を踏まえ、広域協の理事会において協議等が行われていること等、また、広域協の事業等に関連する12項目については、組合らと経営
者会との間で交わされた確認書の締結に先立ち、広域協の理事会において決議が行われていることが認められる。
しかし、これらはいずれも、広域協がその業務として自らの方針等を決定したものにすぎないことなどから、これらの事実をもっ
て、広域協が組合員の労働条件等に対して現実的かつ具体的な支配力を有しているとはいえない。
(4) よって、広域協は、組合員の労組法第7条の使用者に当たらない。
2 7社は、組合員の労組法第7条の使用者に当たるか。
(1)
7社は、組合員の労働契約上の雇用主ではない。また、組合らは、7社が組合員の基本的な労働条件等に対して現実的かつ具体的な支配力を行使していることを示す事実について
立証していない。
(2) よって、7社は、組合員の労組法第7条の使用者に当たらない。
3 したがって、広域協及び7社が組合らの各団交申入れに応じなかったことは、いずれも、労組法第7条第2号の不当労働行為
には当たらない。
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掲載文献 |
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