概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第4号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第4号 |
申立人 |
労働組合X1~X3 |
被申立人 |
協同組合Y1、株式会社Y2~Y6 |
命令年月日 |
平成25年9月10日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合らが、中小企業等協同組合法に基づき設立された協同組
合である被申立人協同組合Y1とセメントの製造・販売等を業務とする被申立人会社Y2らにそれぞれ団交を申し入れたのに対
し、Y1及びY2らがいずれも労使関係にはないとしてこれに応じないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事
件である。
大阪府労委は、Y1及びY2らはいずれも組合員の労組法上の使用者には当たらないとして申立てを却下した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも却下する。 |
判断の要旨 |
1 団交申入れに対する被申立人協同組合Y1の対応について
認定した事実によれば、平成9年、近畿2府4県地域における生コン関連業界の構造改革事業実施に伴う諸問題の解決及び会員
企業における労働関係諸施策の円滑な推進のため、労働組合員を雇用する会員企業から交渉権・妥結権の委任を受け、関係労働組
合と交渉・妥結を行う生コン経営者会が設立され、労使間の労働条件については経営者会が対応することになっていた。一方、
Y1は中小企業等協同組合法に基づき設立された協同組合であり、基本的には経営者会のように労働組合との交渉・妥結を行うこ
とは予定されていないといえる。
申立人組合らは、Y1の理事会で決定される構成員各社のシェアや生コン価格が、構成員の労働者の雇用及び労働条件に直結す
ることになるから、Y1は構成員各社の労働者の雇用や労働条件に実質的な支配力ないし影響力を及ぼしうる地位にある旨主張す
る。
しかし、確かにY1が生コン価格やシェアの割当てを行っていることで、組合員の雇用主である構成員の経営状況に影響を与え
ているとはいえるものの、Y1がその構成員の経営全体を支配下に置いていると認めるに足る疎明はなく、また、構成員の労働者
を直接に指揮命令する関係にあるともいえないことも考慮に入れると、Y1が組合員の労働条件について部分的にせよ現実的かつ
具体的な支配力を及ぼしているとはいえない。
また、組合らは、集団交渉の直接の窓口は経営者会であるが、経営者会だけでは決定できず、実質的にはY1と交渉しており、
Y1は組合員の労働条件を現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にある旨主張する。
しかし、経営者会が組合らとの間で協定書等を締結する前にY1が決議を行っていたとみられる事例はあるものの、その決議の
内容はいずれもY1が業として行っている生コンの販売方法・価格、販売の際の手順やルールなどに関するもので、組合員の労働
条件についての決議には当たらない。したがって、組合らと経営者会との協議中にY1がこれに関連する事項の決議を行った経緯
を考慮しても、Y1が組合員の労働条件に関し、具体的かつ直接的な影響力ないし支配力を及ぼしているとはいえない。
以上のとおりであるから、Y1は組合員の労組法上の使用者に当たるとはいえず、Y1に係る申立ては却下する。
2 団交申入れに対する被申立人会社Y2らの対応について
組合らの組合員とY2らとの間に雇用契約関係がないことについては争いがないが、組合らは、Y1を実質的に支配するY2ら
にも使用者としての団交応諾義務がある旨主張する。
しかし、Y1が組合員の労組法上の使用者に当たらないことは前記1のとおりであるから、これを前提とする組合らの主張は採
用できない。
また、組合らから、Y2らが組合員の基本的な労働条件に関して具体的な決定を行っていたと認めるに足る事実の主張、疎明は
ない。
以上のとおりであるから、Y2らは組合員の労組法上の使用者に当たるとはいえず、Y2らに係る申立ては却下す
る。 |
掲載文献 |
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