概要情報
事件名 |
大阪府労委平成24年(不)第67号 |
事件番号 |
大阪府労委平成24年(不)第67号 |
申立人 |
労働組合X1~X3 |
被申立人 |
株式会社Y1、同Y2 |
命令年月日 |
平成25年9月10日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
申立人組合らが、セメントの製造等を業務とする被申立人会社Y1
及び同Y2にそれぞれ団交を申し入れたのに対し、Y1らがいずれも労使関係にはないとしてこれに応じないことは不当労働行為
であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、Y1らはいずれも組合員の労組法上の使用者には当たらないとして申立てを却下した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも却下する。 |
判断の要旨 |
1 申立外協同組合Zとの関係における被申立人会社Y1らの使用者
性について
申立人組合らは、概ね次のように主張する。すなわち、関西の生コン産業においては、中小企業等協同組合法に基づき設立され
た協同組合であるZが「共同受注・共同販売」体制の下で生コンの販売価格の決定権を握っており、その販売価格が生コン業者の
業績に大きな影響を及ぼし、ひいては労働者の労働条件に直結するという関係にある。したがって、Zこそが構成員(生コン業者
等)の労働者の労働関係に対して実質的な支配力ないし影響力を及ぼしうる地位にあるといえるから、Zは組合らにとって労組法
上の使用者に当たる。そして、Zに強い影響力を有する被申立人会社Y1らは当然に生コン製造会社で生コンの製造・運輸に従事
する労働者の労働条件について実質的な支配力ないし影響力を有しているのであり、組合らにとって労組法上の使用者たる地位に
あるものといえ、団交要求に応じる義務がある。
そこで、Zの使用者性について検討すると、Zが組合員の雇用主である構成員の経営状況に影響を与えていることは事実である
としても、構成員の経営全体を支配下に置いていると認めるに足る疎明はなく、また、構成員の労働者を直接に指揮命令する関係
にあるともいえないことも考慮に入れると、Zが組合員の労働条件について部分的にせよ現実的かつ具体的な支配力を及ぼしてい
るとはいえない。
次に、組合らは、組合らとの集団交渉の直接の窓口は生コン経営者会であるが、経営者会だけでは決定できず、実質的にはZと
交渉しており、Zは組合員の労働条件を現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にある旨主張する。
しかし、経営者会が組合らとの間で協定書等を締結する前にZが決議を行っていたとみられる事例はあるものの、その決議の内
容はいずれもZが業として行っている生コンの販売方法・価格、販売の際の手順やルールなどに関するもので、組合員の労働条件
についての決議には当たらない。したがって、組合らと経営者会との協議中にZがこれに関連する事項の決議を行った経緯を考慮
しても、Zが組合員の労働条件に関し、具体的かつ直接的な影響力ないし支配力を及ぼしているとはいえない。
以上のとおりであるから、Zは組合員の労組法上の使用者に当たるとはいえず、これを前提とする組合らの主張は採用できな
い。
2 生コン製造会社との関係におけるY1らの使用者性について
組合らの組合員とY1らとの間に雇用契約関係がないことについては争いがないが、組合らは、Y1らは自身の直系生コン製造
会社を実質的に支配していると同時に、直系でない生コン製造会社に対しても設備・資本・技術の供与を通じて、その経営に事実
上の強い影響力を与えてきた旨主張する。
しかし、組合らからは、Y1らが組合員の基本的な労働条件に関して具体的な決定を行っていたと認めるに足る事実の主張、疎
明はなく、Y1らが組合員の基本的な労働条件等について雇用主と部分的にも同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定で
きる地位にあったとはいえない。
以上のとおりであるから、Y1らは組合員の労組法上の使用者に当たるとはいえず、Y1らに係る申立ては却下す
る。 |
掲載文献 |
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