概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(千葉動労配転等) |
事件番号 |
中労委平成24年(不再)第23号 |
再審査申立人 |
国鉄千葉動力車労働組合(以下「組合」) |
再審査被申立人 |
東日本旅客鉄道株式会社(以下「会社」) |
命令年月日 |
平成26年2月19日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、会社による次の行為がそれぞれ不当労働行為に当たるとして、千葉県労委に 救済申立てがあった事件である。
(1) 組合の支部役員5 名を、 車両センターの本区から派出所へ配置転換したこと 。
(2) 組合の支部役員2名を、派出所の予備要員(派出所で年休等で欠員が生じた場合の臨時的な補充要員)となるための見習として勤務を指定したこと。
(3) 組合の組合員である運転士2名を、駅へ配置転換したこと。
2 初審千葉県労委は、組合の救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 支部役員5名の派出所への配置転換について
本件では、会社と組合の間に、長期間にわたる厳しい労使の対立関係があった上、約5か月の間に、組合の支部三役4名のうち3名、支部役員全体でみても12名のうち5名が、本区から派出所に配置転換となっており、組合が、支部役員を狙った恣意的な配置転換がなされた旨主張するのも理解できないわけではない。
しかしながら、支部役員5名の配置転換は、業務上の必要性に基づき、不合理とはいえない人選基準に沿って行われたものと認められ、会社が同配置転換に当たり、あえて支部役員を配置転換の対象としたとは認められず、さらに、組合が不利益として主張する組合活動への影響が大きなものであったとは証拠上うかがわれないから、同配置転換が、労組法第7条第1号の不利益取扱いに当たるということはできない。
また、同配置転換が組合の運営に一定の影響を与えたとしても、同配置転換は、業務上の必要性に基づき実施され、対象者の人選においても不合理とはいえないのであるから、会社が、組合を弱体化することを企図して同配置転換を行ったとまでは認められず、同配置転換が同条第3号の支配介入に当たるということもできない。
2 支部役員2名の予備要員見習の勤務指定について
予備要員を指定することには業務上の必要性があり、支部役員2名に対する予備要員見習の勤務指定は、不合理とはいえない人選基準に基づいて行われたものであり、会社が、組合の活動に支障を生じさせることなどを企図してこれを行ったという事情も認められないことからすれば、労組法第7条第1号の不利益取扱い及び同条第3号の支配介入に当たるということはできない。
3 組合員2名の駅への配置転換について
運転士を駅に配置転換するという人事施策は、鉄道会社の人事施策として合理性を欠くとはいえず、所属する労働組合にかかわらず一律に実施されたものであり、組合の組合員2名に対する駅への配置転換が差別的になされたわけではないこと、同配置転換に伴う組合員2名の賃金の減額が不合理であったとはいえず、会社は、代替措置を講じるなど、相応の配慮をしていること、同配置転換による組合活動への影響は、職種の転換や勤務場所の変更に通常伴う一般的な影響の域を出るものでなかったと考えられること等からすれば、上記賃金の減額や組合活動への影響が組合の組合員であるが故にもたらされたものということはできず、同配置転換が労組法第7条第1号の不利益取扱いに当たるということはできない。
また、会社が、労働協約を締結していない組合の組合員に対し、就業規則に基づいて、同配置転換を実施できないとはいえないこと、会社が、組合の弱体化を図って、同配置転換を実施したというような事情も認められないこと、同配置転換による組合活動への影響は、職種の転換や勤務場所の変更に通常伴う一般的な影響の域を出るものでなかったと考えられること等からすれば、同配置転換が労組法第7条第3号の支配介入に当たるということもできない。 |
掲載文献 |
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