概要情報
事件名 |
大阪大学(雇止め団交) |
事件番号 |
中労委平成24年(不再)第34号 |
再審査申立人 |
関西単一労働組合(「組合」) |
再審査被申立人 |
国立大学法人大阪大学(「大学」) |
命令年月日 |
平成26年1月15日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、大学が、国立大学法人となる前から在職する非常勤職員(「長期非常勤職員」)について、当分の間、労働契約期間に上限を設けない旨の取扱いを定めた「当分の間規定」を廃止する旨の通知(「21.10.26 お知らせ」)の内容に関し、組合との間で行った団体交渉(「本件団交」)において不誠実に対応し、その後の団体交渉を拒否したことが、不当労働行為であるとして、救済が申し立てられた事件である。
2 初審大阪府労委は、上記1の組合の救済申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
当分の間規定撤廃問題に関する団体交渉における大学の対応は、労組法第7条第2号に該当するか。
1 21.10.26 お知らせの配付等
大学は、平成16 年の国立大学法人化に伴い制定した就業規則により、非常勤職員の労働契約期間の上限を6年と定める一方、長期非常勤職員については、就業規則の運用として当分の間規定を設けていたが、21 年10 月、同規定を26 年度末をもって廃止する旨を記載した21.10.26 お知らせを関係職員に配付し、その後、21.11.4 団交以降4回の本件団交を行った。
2 本件団交における大学の対応について
ア 21.11.4 団交における大学の21.10.26 お知らせに関する説明によれば、大学は、法人化直後に採用した非常勤職員の労働契約期間が6年に達することを契機に、同期間に係る「非常勤職員間の異なる取扱い」を解消する必要があると判断し、当分の間規定を廃止することとした。また、大学は、長期非常勤職員を常勤職員に登用する制度の新設等、当分の間規定の代替措置を設けることについて説明した。これらの大学の判断や対応には一定の合理性があるといえる。さらに、上記代替措置に係る組合の質問や指摘に回答しており、その内容が特段不合理であったとはいえない。
イ 21.11.4 団交後、大学は、21.10.26 お知らせの内容を役員会で正式に決定し、その後3回の団体交渉が行われたが、組合の要求は、当分の間規定の維持又は長期非常勤職員全員の継続雇用という従前同様のものであったのに対し、大学は、その都度回答を行うとともに、同規定の廃止に係る考え方を改めて整理した資料を交付するなど、組合の理解を得るべく相応の努力を尽くしている。
そして、役員会決定の後であっても、交渉の結果の如何によっては変更されることがあり得るのであるから、役員会決定後の団体交渉が形式的なものであったとか、無意味であったとはいえない。
ウ 大学が本件団交の時間を午前9時からの1時間と設定したからといって、本件団交で実質的な協議を行い得なかったとはいえない。また、労使間で事前協議・合意約款は締結されていなかったのであるから、大学に、21.10.26 お知らせの配付ないし役員会決定の前に組合と協議し合意する義務があったとはいえない。
エ 以上の経過からすれば、本件団交における大学の対応が不誠実なものであったとはいえない。
3 本件団交後の大学の対応について
上記2の大学の対応にかかわらず、組合は、当分の間規定の維持要求に固執し、同じ要求を繰り返し求め続けている。そうすると、4回の団体交渉が行われた時点において、当分の間規定撤廃問題に係る交渉は、双方が主張を出し尽くし、行き詰まりに達したものとみるのが相当であるから、その後の組合からの当分の間規定撤廃問題に関する団交申入れに対し、大学が、団交で説明を尽くしているので改めて団交を開催して説明を繰り返す必要はない旨述べ、これに応じなかったことには相当の理由がある。
4 結論
以上のとおりであるから、本件団交及びその後の団体交渉申入れに係る大学の対応は、労組法第7条第2号に該当しない。 |
掲載文献 |
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