労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第56号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第56号 
申立人  X労働組合 
被申立人  国立大学法人Y 
命令年月日  平成24年6月15日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   被申立人法人は、平成16年4月からの国立大学法人への移行に当たり、法人化前から引き続き雇用する非常勤職員については、当分の間、労働契約の更新可能年数に制限を設けないこととし、その旨の規定(以下「当分の間規定」という。)を記載した「国立大学法人Y非常勤職員(短時間勤務職員)就業規則申合せ事項」を定めた。法人化後、申立人組合は法人に対し、非常勤職員の雇用期限の撤廃を要求し、両者の間で繰り返し団交が行われたが、法人はこの要求に応じなかった。法人は、21年10月26日、法人化前から雇用している非常勤職員に対し、27年3月末をもって当分の間規定による経過措置を廃止すること等を記載した書面を配付した。組合は、当分の間規定を撤廃しないことを要求し、21年11月以降、4回にわたって団交が行われた。
 本件は、当分の間規定の撤廃問題を議題とする団交について、法人が決定事項の説明に終始した後、交渉を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、申立てを棄却した。  
命令主文   本件申立てを棄却する。  
判断の要旨   申立人組合は、法人は当分の間規定撤廃問題を議題としてきたそれまでの交渉経緯を無視し、平成21年10月26日配付の書面に記載された当分の間規定撤廃を、組合と交渉し、合意することなく一方的に決定した旨主張する。
 しかし、法人は、この間終始、組合の要求は受け入れられないとしてきたのであって、このような交渉経緯からして、法人には上記書面の内容の決定に先立ち、事前に提案したり、組合と交渉し合意すべき事情があったということはできず、交渉経緯を無視したとする組合の主張は採用できない。
 組合はまた、法人が結論を固定して説明に終始した実質交渉にならない不誠実かつ形式的な団交を1回行っただけで、組合と交渉し合意することなく、当分の間規定撤廃を決定した旨主張する。
 確かに、法人が当分の間規定撤廃を役員会において正式に決定するまでの間に行われた団交は、21年11月4日の団交のみであった。しかし、当該団交において法人は、当分の間規定を撤廃する理由等について説明を行った上、組合の要求には応じない旨理由を付して回答し、質問にも回答していると認められることから、当該団交が実質的な協議を行わない形式的なものであったとはいえない。
 組合は、さらに、当分の間規定撤廃が役員会で決定された後に行われた3回の団交は、団交を重ねたと欺瞞するだけのもので全く意味がない旨及び法人が22年1月21日の団交を最後に団交を拒否し、組合の異議申立てを封殺した旨主張する。
 しかし、法人は上記3回の団交において、組合の要求には応じていないものの、当分の間規定Q&A等を資料として提出するとともに、組合の要求に対し一定の回答を行っているということができ、両者の間で一定の協議が行われたとみるのが相当である。
 また、21年11月以降の4回の団交において、法人は一貫して組合の要求には応じられない旨回答しているが、組合は当分の間規定撤廃の撤回について再検討するよう抽象的に要求するにとどまっている。これに加え、法人が21年10月26日に書面を配付する以前に約6年間にわたり組合の要求を拒否し続けていたことを併せ考えると、双方の主張が平行線をたどり、交渉は行き詰まっていたものといわざるを得ず、法人が22年1月21日の団交以降、この問題を議題とする団交に応じなかったことには正当な理由があるとみるのが相当である。
 以上のとおりであるから、当分の間規定撤廃問題を議題とする団交における法人の対応は不誠実であったとはいえない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成24年(不再)第34号 棄却 平成26年1月15日
東京地裁平成26年(行ウ)第401号 棄却 平成28年8月18日
東京高裁平成28年(行コ)第316号 棄却 平成29年1月18日
最高裁平成29年(行ツ)第206号・平成29年(行ヒ)第233号 上告棄却・上告不受理 平成29年8月25日
 
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