概要情報
事件名 |
石原産業 |
事件番号 |
中労委平成22年(不再)第49号・第50号 |
第49号再審査申立人 |
株式会社石原産業(「会社」) |
第50号再審査申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(「組合」) |
第49号再審査被申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(「組合」) |
第50号再審査被申立人 |
株式会社石原産業(「会社」) |
命令年月日 |
平成23年10月19日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合のストライキ実施後、会社が、①組合員らに対し、洗車と車両点検のみの作業指示や休憩時間の変更指示等を行ったこと、②19年年末、組合員に「お年玉」を支給しなかったこと、③ストライキ期間中就労した従業員のみに特別報酬を支給したこと及び組合員に対し冬期賞与を減額して支給したこと、④組合を誹謗中傷し、組合員を威嚇する内容の発言をしたこと、⑤組合の団交申入れに対し、まだ団交応諾義務事項があるにも関わらず拒否していること等が不当労働行為に該当するとして救済申立てがあった事件である。
初審大阪府労委は、会社に対し、①19年冬期賞与の減額がなければ得られたであろう賞与相当額と支払済額との差額支払、②「お年玉」の支給、③上記①②及び洗車と車両点検のみの作業指示及び洗車とワックス掛けの作業指示、会社取締役の発言に関する文書手交を命じ、その余の救済申立ては棄却したところ、会社と組合は、それぞれ再審査を申し立てた。
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命令主文 |
本件各再審査申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 組合員らに対する、洗車と車両点検のみの作業指示等は、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たり、休憩時間の変更指示等は、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たらない。
組合員のみのローテーションを組み、洗車と車両点検の業務のみを行わせたこと及び組合員に対し洗車やワックス掛けを行うよう指示したことに合理的な理由は認められず、分会結成以降、労使対立が続く中で、ストライキという組合の正当な行為を嫌悪し、あえて必要のない作業指示等を差別的に行ったものであり、不当労働行為に当たる。組合員に対し、①休憩時間の変更を指示したこと、②担当コースの変更を指示したこと、③会社の倉庫での就労と昼食を指示したことが、特段不合理であるとはいえず、また、殊更差別的な取扱いを行ったものとまではいえない。したがって、これら変更指示等はいずれも組合員らの組合活動等を理由とする不利益取扱いであるとはいえず、不当労働行為に当たらない。
2 組合員に「お年玉」を支給しなかったことは、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たる。
組合員が19年12月31日に出勤したにもかかわらず「お年玉」を支給されなかったことに合理的な理由はなく、会社は、分会結成以降、労使対立が続く中で、ストライキという組合の正当な行為を嫌悪して、見せしめ的に組合員のみに対して「お年玉」を支給しないという不利益な取扱いを行ったもので、不当労働行為に当たる。
3 ストライキ期間中就労した従業員のみに特別報酬を支給したことは、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たらないが、組合員に対し冬期賞与を減額して支給したことは、労組法第7条第1号の不当労働行為に当たる。
会社がストライキ期間中に就労した従業員の負担増大に対する報酬として特別報酬を支給したことには合理的理由があること、支給対象者や支給額も相応と認められる範囲内であり、会社がストライキ終了以前に特別報酬の支給を予告した事実はうかがわれないことからすると、会社がストライキを抑止する意図をもって支給を行ったものとはいえず、組合員に特別報酬が支給されなかったのは、ストライキ期間中、通常業務を超える作業に従事しなかったことを理由とするものであって、不利益取扱いや支配介入であるとまではいえず、不当労働行為に当たらない。会社が、ストライキ開始日に「緊急公休」を適用して冬期賞与を20%及び45%もの減額支給したことに合理的な理由はなく、減額支給は、組合員の組合活動を嫌悪し、取決めや慣行がないにもかかわらずあえてストライキ開始日に「緊急公休」を適用することによって、組合員に対し賞与の大幅な減額という多大な経済的不利益を課すもので、不当労働行為に当たる。
4 組合を誹謗中傷し、組合員を威嚇する内容の発言をしたことは、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たる。
会社取締役の「これからは夜中の仕事には行かせへん」「散弾銃で撃ってやる」等の発言は、不利益を示唆することによって組合員を威圧するものであり、暴力的発言といわざるを得ないものであって、業務全体の監督指導を行う常務取締役と一従業員という関係の下で、組合員を威圧し、組合活動を萎縮させる意図をもって行われたものといえ、組合の弱体化を企図した支配介入であり、不当労働行為に当たる。
5 組合の団交申入れに対する会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない。
準社員の正社員化要求等について、会社は、組合の要求に応じられない理由を具体的に説明したが、相互に譲歩の意思が見られず、組合と会社の主張は平行線のまま行き詰まりの状態になったことがうかがえ、歩み寄りの余地はないといわざるを得ない。また、未払残業手当支払要求等引き続き協議する必要がある事項について、会社は一応団交に応じる姿勢を示しており、正当な理由なく団交拒否を行ったとはいえない。よって、本件団交申入れに対する会社の対応は、不当労働行為に当たらない。
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掲載文献 |
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