概要情報
事件名 |
東京都(専務的非常勤職員設置要綱) |
事件番号 |
中労委平成22年(不再)第38号 |
再審査申立人 |
東京都(「都」) |
再審査被申立人 |
東京公務公共一般労働組合(「組合」) |
命令年月日 |
平成23年10月5日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
都の1年任期の専務的非常勤職員である消費生活相談員(「相談員」)について、都が平成20年2月から同21年1月の間に、従来65歳まで何度でも可能だった雇用期間の更新を原則4回までにしたこと(「本件要綱改正」)及び次年度の労働条件等について、団体交渉を申し入れた組合に対し、義務的団体交渉事項ではないとして都がこれらに応じなかったことが不当労働行為であるとして、組合から申立てのあった事件である。
初審東京都労委は、これらの団体交渉申入れのうち平成20年2月12日付け及び同年8月12日付け団体交渉申入れに対する都の対応は労働組合法(「労組法」)第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、都に対し、組合が要綱に規定する雇用期間更新及び次年度の労働条件について団体交渉を申し入れたときは誠実に応諾しなければならない旨を命じたところ、都は、これを不服として、再審査を申し立てた。
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命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 1年任期の専務的非常勤職員の次年度の労働条件を議題とする団体交渉について都は労組法第7条第2号の使用者に当たる。
本件の組合は、都の職場では、初審結審時、東京ウィメンズプラザや都消費生活総合センターに勤務する相談員である専務的非常勤職員及び職業能力開発センターに勤務する臨時的非常勤職員などを組織しており、従前から都の関係各局との間で非常勤職員の労働条件に関して団体交渉を行ってきたものである。すなわち、本件労使間においては、従前から集団的労使関係が存在し、現在も存在しているものである。しかも、本件で問題となっている相談員は、「相談員は、次年度に任用される可能性が高く、次年度の組合員に都の任用する相談員が存在する可能性は現実かつ具体的に存するということができる」ものである。したがって、都は相談員の次年度の労働条件に関して交渉当事者であって、労組法第7条第2号の使用者に該当する。
2 専務的非常勤職員の次年度の労働条件は義務的団体交渉事項に当たる。
専務的非常勤職員である相談員の次年度の労働条件は、任用前の労働者の採用条件ではなく、現に都に任用されていて、次年度も引き続き任用される可能性が現実かつ具体的に存する組合員についての労働条件そのものであるというべきであるから、義務的団体交渉事項に該当する。また、団体交渉の意義は、労働協約の締結による労使間のルールの形成を図ることだけにあるのではなく、労使間の意思疎通を図ることによって集団的労使関係の正常化を期することも含むものである。すなわち、団体交渉で終局的決定をなし得ないことが、当然に団体交渉を拒否する正当な理由となるものではない。
3 雇用期間の更新に関する本件要綱改正は義務的団体交渉事項に当たる。
専務的非常勤職員の再任用については、再任用を請求する権利又は継続雇用の期待権の存否は別としても、都は専務的非常勤職員を再任用する裁量権を有しており、しかも再任用に関する条件の変更は専務的非常勤職員にとって重要な労働条件に当たることを考慮すれば、本件要綱改正が義務的団体交渉事項に当たることは当然である。
4 組合からの平成20年2月12日付け及び同年8月12日付けの団体交渉申入れに対する都の対応は不当労働行為に当たる。
上記のとおり、本件要綱改正及び相談員の次年度の勤務条件は義務的団体交渉事項に当たるものであり、平成20年2月12日付け及び同年8月12日付けの団体交渉申入れに対する都の対応はいずれも正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。
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掲載文献 |
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