概要情報
事件名 |
中国地方整備局・九州地方整備局 |
事件番号 |
広労委平成21年(不)第6号・第7号 |
申立人 |
スクラムユニオン・広島 |
被申立人 |
国(国土交通省) |
命令年月日 |
平成23年6月24日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
組合員7名は申立外会社Aに雇用され、同社と被申立人国との業務委託契約に基づき、国の広島国道事務所等において官用車の車両管理業務に従事していたが、Aが平成21年度における当該業務を受託できなくなったことにより、同社から解雇された。本件は、国が同人らの雇用確保に関する団体交渉に応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
広島県労委は、国に対し、国による直接雇用を除く事項について団体交渉に応じることを命じ、その余の申立てを棄却した。
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命令主文 |
1 被申立人は、申立人が平成21年4月15日付け及び同月16日付けで申し入れた団体交渉のうち、組合員らの雇用の確保(被申立人による直接雇用(任用)を除く。)に関する団体交渉に、速やかに誠意をもって応じなければならない。
2 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 国は、労組法7条2号の「使用者」といえるか。
被申立人国は、広島国道事務所等において、申立外会社Aの従業員である組合員らの雇用について、直接、支配・決定していたとまではいえないが、国とAいずれにとっても当該車両管理業務委託契約は20年以上の相当長期間にわたり、毎年度当然に締結し続けるであろうと想定される状況が続いていたということ、国は組合員らを関係法規(労働者派遣法)に違反する方法により業務に従事させていたこと、国は労働局による是正指導等により組合員らの雇用確保を図る方向での是正を求められていたこと、これらの事情に照らせば、組合員らが国に対して同契約の打切りに当たり何らかの配慮を求めるのも無理からぬ状況にあったといえる。
このような事情に鑑みると、国は、組合員らの雇用について直接、支配・決定していたとまではいえないものの、雇用確保という組合の要求事項について深く関与し、またその解決に寄与すべき立場にあるということができ、さらに、当該要求事項が直接雇用に限定されているわけではないという事情の下では、団体交渉を通じて問題を解決する可能性があるともいえる。したがって、国は、労働組合が雇用の確保等を議題とする団体交渉を求めることが法的保護に値すると認められるような事情の下にある者といえる。
以上のとおりであるから、組合員らの雇用確保に関し団体交渉の申入れがあった場合、国はこれに応じるべき「使用者」に当たると解するのが相当である。
2 労組法7条2号に規定する「正当な理由」が認められるか。
直接雇用(任用)以外の雇用の確保については、国は雇用確保という組合の要求事項に深く関与しており、またその解決に寄与すべき立場にあったといえるから、本件団交申入れを真摯に受け止めて、団体交渉の場において、組合員らに対し、雇用確保や代償措置等の可能性について協議を行い、少なくとも一般競争入札を実施するに至った経緯等について組合員らに説明し理解を求める努力をすべきであった。
以上のことから、直接雇用(任用)以外の雇用の確保を交渉事項とする団体交渉申入れを拒むことについて、国に正当な理由は認められない。 |
掲載文献 |
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