概要情報
事件名 |
西日本旅客鉄道(西労岡山) |
事件番号 |
中労委 平成11年(不再)第23号
|
再審査申立人 |
西日本旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部 |
再審査被申立人 |
ジェーアール西日本労働組合 |
命令年月日 |
平成16年12月 1日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、(1)会社の支社の運転区及び分室において、助役らが組合の組合員に対して昇格、転勤等の人事権を利用して同組合からの脱退を慫慂したこと、(2)支社が組合地方本部から申し入れられた団交に応じなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、岡山地労委は、会社の助役らの言動は労組法7条3号に該当し、団交申入れにかかる会社の対応は同条2号の不当労働行為に該当するとして、(1)昇格試験、転勤等を利用した脱退慫慂を行うことによる支配介入の禁止、(2)団交応諾、(3)上記(1)(2)に関して文書手交を命ずる一部救済命令を交付した。会社は、上記(1)(2)の初審命令の救済部分を不服として再審査を申し立てたが、中労委は、再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
3410 職制上の地位にある者の言動
岡山運転区及び津山西分室において会社助役及び科長らによる脱退慫慂の事実があったとする初審認定事実に誤りはなく、助役は、区長に次ぐ現場管理者として、部下を監督・指導する立場にあり、昇格試験の合否について事実上相当の影響力を与えうる地位にあったものといえ、また科長らは部下の社員の転勤等の決定について事実上相当の影響力を与えうる地位にあったものといえるから、本件における助役及び科長らの言動は、その職務上の地位を利用して、会社の意を体して行われたものと認められ、その行為の責任は会社に帰責されるものとして、会社の係る行為は労組法7条3号の不当労働行為に該当するとされた例。
2305 労働協約との関係
2301 人事事項
岡山支社は、岡山地本からの団交申入れに対して、団交要求事項が協約第39条に該当しないと判断して本件団交申入れに応じなかったが、協約第39条は従業員の個別労働条件決定の団交に関する規定であり、労使紛争の団交などを想定した規定ではないと解され、また、本件労使間の協約には労使が話し合う場として団交以外に経営協議会や苦情処理制度が設けられているが、これらの規定をみても労使紛争処理に関する事項は含まれていないことから、会社が、労使紛争をめぐる団交申入れを、協約第39条を理由としてこれを拒否することはできないというべきであり、本件労使間の協約における団交と苦情処理制度等の関係及びこれらの実態についてみると、本件労使間の協約において、従業員の個別人事事項を処理対象とする解決機関とされているのは簡易処理苦情会議であるが、従業員の個別人事事項に関する苦情処理の一般的規定は存在せず、現に岡山運転区における簡易苦情処理の申告は、苦情として適切ではないとして簡易苦情処理会議はこれらすべてを却下している実態及び本件団交申入れ以降の組合役員の配転等に関する団交申入れについて、協約第39条に該当しないとの理由で応じていない実態からすると、団交要求事項が協約第39条に該当しないと判断して団交に応じなかった会社の対応は、不当労働行為ないし個別人事に関する問題について団交を含む労使交渉の途を閉ざすものであって、労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
|
業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
 
|
|