労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本旅客鉄道(西労岡山) 
事件番号  岡山地労委 平成 7年(不)第1号 
申立人  ジェーアール西日本労働組合 
申立人  ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部 
被申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
命令年月日  平成11年 3月25日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、(1)会社の岡山運転区及び津山鉄道部の助役らが、申立人ジェーアール西日本労働組合所属の組合員に対し、昇格試験、転勤等を利用して組合からの脱退を慫慂したこと、(2)岡山支社が、申立人組合岡山地本の平成7年2月21日に申し入れた団体交渉に対し、交渉事項が協約に定められている団体交渉事項に該当しないとしてこれに応じなかったことが、それぞれ不当労働行為であるとして申立てのあった事件で、脱退慫慂による組合の組織運営への支配介入の禁止、団体応諾及びこれらに係る文書交付を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、申立人ジェーアール西日本労働組合岡
山地方本部所属の組合員に対し昇格試験、転勤等を利用した脱退慫慂を行うこと
により申立人の組織、運営に支配介入してはならない。
2 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、申立人ジェーアール西日本労働組合岡
山地方本部が平成7年2月21日に申し入れた団体交渉について誠実に交渉しな
ければならない。
3 被申立人西日本旅客鉄道株式会社は、申立人ジェーアール西日本労働組合及
び同組合岡山地方本部に対して、本件命令後速やかに、次の文書を手交しなけれ
ばならない。
                 記
                          平成 年 月 日
  ジェーアール西日本労働組合
   中央執行委員長   X1   殿
  ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部
   執行委員長     X2   殿
                   西日本旅客鉄道株式会社
                    代表取締役社長   Y1
  当社の助役等が、岡山支社管内の岡山運転区及び津山鉄道部において、平成
6年4月から同7年2月にかけて貴組合所属の組合員に対し貴組合からの脱退を
慫慂したこと及び当社が同7年2月21日の団体交渉の申入れに対し誠実に対応
しなかったことは、岡山県地方労働委員会において、労働組合法第7条第3号及
び第2号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような
行為を繰り返さないようにいたします。
4 申立人のその余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
2623 脱退届け作成・提出強要
別組合に所属するY2助役が、部下である申立人組合の組合員X3らに対し、主として勤務時間外に昇進試験の合格を材料に組合脱退届の提出を求める等、申立人組合からの脱退を慫慂したことが、別組合の運動方針に従って組合員の獲得を目指した行為とは認められないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
Y2助役の組合員X3らに対する申立人組合からの脱退を慫慂する言動は、三六協定の締結権を有していた申立人組合の弱体化を図るための脱退工作であると認められ、管理者の立場で職務に関しなされたもので、その言動に伴う責任は会社に帰せしめられるべきものであり、会社は申立人組合の運営に支配介入したものと解するのが相当とされた例。

2613 使用者と取引関係者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
社外の第三者であるZ1の組合員X3らに対する申立人組合からの脱退を慫慂する言動は、その言動にY2助役との通謀や指示を裏付ける具体的疎明がない以上、会社に使用者責任を問うことは困難とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
別組合に所属するY4助役が、部下である申立人組合の組合員X4に対し、勤務時間中に同人の希望地への転勤を材料に申立人組合からの脱退を慫慂したことが、別組合の組織拡大を目的としたものではなく、会社の意を体して申立人組合の弱体化を図ったものとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
Y3科長及びY4助役の行為は、申立人組合の弱体化を意図し、管理者の立場で組合員X4の転勤希望を利用して申立人組合からの脱退を慫慂したものであり、その責任は会社に帰するとされた例。

2305 労働協約との関係
義務的団交事項については、団交に代わる手段等がとられている場合は格別、協約に団交事項として規定されていないことのみをもって労使協議を一切行わないことは労組法の趣旨に反するとされた例。

2305 労働協約との関係
苦情処理制度等が実質的に機能していない状況において、会社が申立人組合から申し入れのあった団交事項について、協約の規定に該当しないとして団交に応じなかったことが不当労働行為に当たるとされた例。

4612 P.Nに替えて他の措置を命じた例
4615 P.Nを認めないことに理由を付した例
申立人は会社の謝罪文の掲示を求めているが、今後の労使関係を考えると会社にこれを命ずるのは適当ではないので、これにかわるものとして申立人への文書の交付をさせるのが相当であるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集113集332頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成11年(不再)第23号  棄却 平成16年12月 1日
東京地裁平成17年(行ウ)第11号 棄却 平成17年12月26日
東京高裁平成18年(行コ)43号 棄却 平成19年6月27日
最高裁平成19(行ツ)258号
最高裁平成19(行ヒ)279号
上告棄却・上告不受理 平成19年12月13日
 
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