労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本旅客鉄道(西労岡山脱退勧奨等) 
事件番号  中労委平成16年(不再)第74号 
中労委平成16年(不再)第73号 
再審査申立人  ジェーアール西日本労働組合 
再審査申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
再審査申立人  ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部 
再審査被申立人  ジェーアール西日本労働組合 
再審査被申立人  ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部 
再審査被申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
命令年月日  平成18年 2月15日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  現場長らが組合員に対し、組合からの脱退を慫慂したこと及びこれに応じなかった組合員を転勤、転職させたこと並びに岡山支社が岡山地本からの団体交渉申入れに応じなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、岡山県労委は、会社に対し、転勤を手段とした脱退慫慂を行うことによる組合らの組織、運営への支配介入の禁止及び文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。
 組合及び会社はこれを不服として、再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令の一部を変更し、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  主   文

Ⅰ 初審命令主文を次のとおり変更する。
 1 西日本旅客鉄道株式会社は、ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部に所属する組合  員に対し、人事上の不利益の示唆又は利益の誘導などによって同組合からの脱退を慫慂し  て、同組合の運営に支配介入してはならない。
 2 西日本旅客鉄道株式会社は、同岡山地方本部に対し、本命令受領後、速やかに下記の文  書を手交しなければならない。
               記
                         平成 年 月 日
  ジェーアール西日本労働組合
     中央執行委員長 X1 殿
  ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部
     執行委員長   X2 殿

                    西日本旅客鉄道株式会社
                    代表取締役社長 Y1 印

当社が岡山支社において、ジェーアール西日本労働組合岡山地方本部に所属する組合員X6及びX7に対し、貴組合からの脱退を慫慂したことは、中央労働委員会において、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認められましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
 3 その余の本件救済申立てを棄却する。
Ⅱ その余の本件各再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
組合員X3、X4及びX5に対する脱退慫慂については、X3に対するY2所長らの発言に組合脱退を具体的に慫慂する内容は含まれておらず、X4及びX5においても、同人らの証言や同人らに対する脱退慫慂に関する具体的な疎明もないことから、この点についての組合の救済申立ては認められないとされた例。

1300 転勤・配転
2625 非組合員化の言動
組合はX3、X4及びX5が組合を脱退しないことを理由に同人らを「みせしめ転勤」させたと主張するが、同人らの転勤は、事故等を起こした者に対する労務管理上の一方法として一応首背できること、岡山支社管内での異動は転居を伴ったものであっても、通常行われている転勤であって、格段の不利益を伴うものとはいえないこと、同人らへの脱退慫慂は認められないこと等から、本件転勤は組合に所属するが故に行われた不利益取扱い、あるいは、組合を弱体化する目的で行われた支配介入とは断定できないとされた例。

1300 転勤・配転
津山鉄道部縮小に伴う転勤について、組合別所属人数から本件転勤の人選に不自然さが認められるものの、本件転勤は経営施策の実施により、車掌の要員配置が廃止されるなどの要員減少に伴って行われたものであって、鉄道部を運営していく上で必要となる内勤業務や、運転士が車掌職を行う混み運用が可能な運転士を同鉄道部に残したことが認められること、混み運用が可能な運転士の育成における所属組合間差別があったとの具体的な疎明がないこと、同鉄道部に残った混み運用が可能な運転士の組合所属別人数についても明らかでないことからすると、本件転勤が不当労働行為であるとは断定できないとされた例。

1300 転勤・配転
2625 非組合員化の言動
職務上、人事異動に関して一定の影響力を与えうる地位にあるY3区長(課長)らの各言動は、X6及びX7の組合脱退の意思決定に重大な影響を与えようとした一連の行為であることから組合脱退を慫慂したものであり、これらの行為は会社に帰責されるので、労組法第7条第3号に該当するとされた例。

2249 その他使用者の態度
個別的人事事項に関する団交申入れについて、協約における団交事項ではないとして拒否した会社の対応は、労使関係上好ましいとはいえないが、組合にあって団体交渉での解決を求め、団体交渉実現への努力が尽くされたとの具体的な疎明がない状況下では、労組法第7条第2号に該当するとはいえないとされた例。

2253 受取り拒否・申入れなし
岡山地本からの労申17号及び22号団交申入れについて、団体交渉が正式に申し込まれているとは認められないことから、岡山支社の対応が労組法第7条第2号に該当するとは認められないとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
岡山県労委平成平成12年(不)第1号、平成13年(不)第1号 一部救済 平成16年10月14日
東京地裁
(基本事件 平成18年(行ウ)第160号)
参加申立ての却下 平成19年3月14日
東京地裁平成18年(行ウ)第160号 棄却 平成19年11月26日
東京高裁平成19年(行コ)第429号 棄却 平成20年5月29日
最高裁平成20年(行ツ)第263号
最高裁平成20年(行ヒ)第305号
上告棄却、不受理 平成20年11月25日
 
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