事件名 |
ミューズ音楽院外1名 |
事件番号 |
東京都労委平成14年(不)第37号
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申立人 |
全労協全国一般東京労働組合 |
被申立人 |
ミューズ音楽院 |
被申立人 |
学校法人神代学園 |
命令年月日 |
平成17年 7月19日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、被申立人によって組合員2名が降格されたこと、組合の申
し入れた36協定の締結などを交渉事項とする団体交渉が拒否されたこと、及び組合員らに対して時間外労働をしないよう業務命
令がなされたことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。
東京都労委は、被申立人らに対して、①組合員X1、X2に対する降格がなかったものとしての取扱い及び原職復帰までの役職
手当のバックペイ、②組合からの団体交渉申入れに対して組合の構成員に使用者の利益を代表する者の参加していることを理由と
する団体交渉拒否の禁止を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人ミューズ音楽院ことY1は、申立人全労協全国一般東京
労働組合の組合員X2に対する平成14年9月27日付降格をなかったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させ、同人に対し
て、降格から原職復帰までの間に支払われるべきであった役職手当相当額を支払わなければならない。
2 被申立人学校法人神代学園は、申立人全労協全国一般東京労働組合の組合員X3に対する平成14年11月11日付降格をな
かったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させ、同人に対して、降格から原職復帰までの間に支払われるべきであった役職手
当相当額を支払わなければならない。
3 被申立人ミューズ音楽院ことY1は、申立人組合からの団体交渉申入れについて、組合がその構成員に教務部長及び事業部長
を含み、使用者の利益を代表する者の参加を許しているとの理由で拒否してはならない。
4 被申立人らは、それぞれ第1項または第2項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
5 その余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
5130 法2条但書との関係
音楽院の教務部長であって組合の分会長X1及び学園の事業部長であって組合の分会書記長X2は、職員の募集・採用・解雇など
の人事上の措置を決定する権限が付与されていたとは認められず、職員の昇格人事等の労働関係についての計画と方針に関する機
密の事項に接していたとも認められず、また、音楽院の教務課長であって分会員のX3及び教務主任であって分会員のX4は、カ
リキュラムの設定、講師の雇入れの実務等に関与していたものの、労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接して
いたとは認められず、X2ら4名が加入する組合について、その構成員に使用者の利益を代表する者が含まれることを理由に申立
ての却下を求める学院の主張は採用できないとされた例。
1102 業務命令違反
1200 降格・不昇格
Y1は分会長X2が業務指示を無視したことを理由に教務部長から解任しているが、無視した業務指示の約半数は組合員としての
地位及び活動に関連して、組合が組織として対応したものであって、その活動が違法である事情も認められず、また、同人が配布
した建築基準法違反及び消防法違反などを問題としたビラは、事実の歪曲や誹謗中傷は認められないこと等から、これらを同人の
降格事由とすることは相当でないとされた例。
1200 降格・不昇格
1102 業務命令違反
0500 勤務成績不良
学園はX3が職務怠慢及び業務指示の無視を理由に事業部長から解任しているが、同人の事務処理が不適切と認められるケースが
部分的に見受けられるものの、これらにより具体的な支障や損害が発生したとは認められず、降格の理由とするのは相当ではな
く、また、業務指示の多くは組合員としての地位及び活動に関連したものであり、組合が組織として対応したことに合理性がない
とはいえず、その活動が違法である事情も認められないから、学園の主張するX3の降格事由は総じて相当な理由とみることはで
きないとされた例。
1200 降格・不昇格
Y1及び学園が主張する組合員X2及びX3の降格事由には、X2らに非があると認められる事情も一部見受けられるものの、こ
れらの事情を一括して考慮したとしても、本件降格には相当性と業務上の必要性があるとは認められず、平素から嫌悪していた組
合の中心的役割を果たしていた両名に対する報復としてなされた措置であり、両名に対する不利益取扱いに当たるとともに、組合
を牽制、抑制しようとした支配介入にも当たるとされた例。
2113 交渉団体として不適格
組合の度重なる団交申入れに対して、Y1は組合の構成員に使用者の利益代表者である教務部長X2及び事業部長X3が含まれて
いることを理由に団交に応じていなかったのであるが、教務部長及び事業部長は使用者の利益代表者に該当しないのであるから、
Y1が団交に応じないことは不当労働行為に当たるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
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