概要情報
事件名 |
ミューズ音楽院 |
事件番号 |
東京高裁平成19年(行タ)第51号 |
申立人 |
個人Y 学校法人神代学園 |
相手方 |
東京都(処分行政庁 東京都労働委員会) |
判決年月日 |
平成19年11月29日 |
判決区分 |
執行停止申立ての却下 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、Yが経営する音楽学院において、時間外手当の支給基準変更を契機として組合が結成されたところ、Yが、組合が申し入れた団体交渉を拒否し、組合員X1及びX2に対して、教務部長、事業部長の任を解く降格処分等を行ったことが不当労働行為に当たるとして争われた事件である。 東京都労委は、団交拒否及び降格処分を不当労働行為として、団体交渉応諾、降格処分の取消しとバックペイの救済命令を発した。Y及び音楽学院は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は東京都労委の命令を支持し、Yらの請求を棄却した。これに対し、Yらは東京高裁に控訴したため、東京都労委が緊急命令の申立てを行った。Yらは、本件命令の取消しを求める訴えを本案として、当該本案判決の確定に至るまで本件命令の効力の停止を求める本件執行停止申立てをしたが、東京高裁は却下した。 |
判決主文 |
1 本件申立てをいずれも却下する。 2 申立費用は、申立人らの負担とする。 |
判決の要旨 |
本件命令主文1、2項について都労委から当裁判所に対して、緊急命令の申立てがなされているところ、緊急命令が発されると、音楽院らは過料の制裁によって同命令部分の履行を間接的に強制されることになる。しかし、右記主文1、2項のうちバックペイを命じた部分の履行によって音楽院らが被ることのある損害は、金銭賠償を受けることにより十分回復可能であるといえるし、また、その他の現職復帰を命じた部分については、これを履行しても、音楽院等の規模、性質、事業内容など、一件記録により認められる諸事情に照らし、音楽院らの事業運営が著しく困難になるとは認めらない。 したがって、緊急命令が発せられても、音楽院らが重大な損害を被るおそれがあるとは認められず、他に本件命令により重大な損害をおそれがあることについての疎明はないことから、本件執行停止の申立ては、行訴法25条2項の要件を充たさないというべきである。 |