概要情報
事件名 |
ミューズ音楽院 |
事件番号 |
東京高裁平成19年(行タ)第46号 |
申立人 |
東京都労働委員会 |
申立人補助参加人 |
全労協全国一般東京労働組合 |
被申立人 |
個人Y 学校法人神代学園 |
判決年月日 |
平成19年11月29日 |
判決区分 |
緊急命令申立ての認容 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、Yが経営する音楽学院において、時間外手当の支給基準変更を契機として組合が結成されたところ、Yが、組合が申し入れた団体交渉を拒否し、組合員X1及びX2に対して、教務部長、事業部長の任を解く降格処分等を行ったことが不当労働行為に当たるとして争われた事件である。 東京都労委は、団交拒否及び降格処分を不当労働行為として、団体交渉応諾、降格処分の取消しとバックペイの救済命令を発した。Y及び音楽学院は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は東京都労委の命令を支持し、Yらの請求を棄却した。これに対し、Yらは東京高裁に控訴したため、東京都労委が緊急命令の申立てを行ったところ、同高裁は認容した。 |
判決主文 |
1 申立人Yは、同被申立人を控訴人、申立人を被控訴人とする当庁平成19年(行コ)第69号不当労働行為救済命令取消請求控訴事件の判決確定に至るまで、申立人が都労委平成14年不第37号事件について発した命令の主文1項「1被申立人ミューズ音楽院ことYは、申立人全労協全国一般東京労働組合の組合員X1に対する平成14年9月27日付降格をなかったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させ、同人に対して、降格から原職復帰までに支払われるべきである役職手当相当額を支払わなければならない。」に従わなければならない。 2 被申立人学校法人神代学園は、同被申立人を控訴人、申立人を被控訴人とする当庁平成19年(行コ)第69号不当労働行為救済命令取消請求控訴事件の判決確定に至るまで、申立人が都労委平成14年不第37号事件について発した命令の主文2項「2 被申立人学校法人神代学園は、申立人全労協全国一般東京労働組合の組合員X2に対する平成14年11月11日付降格をなかったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させ、同人に対して、降格から原職復帰までに支払われるべきである役職手当相当額を支払わなければならない。」に従わなければならない。 |
判決の要旨 |
本件救済命令を履行しないことによって、本件組合員は降格処分に伴い月額10万円の手当を受けられなくなっており、こうした状態は現在まで五年以上ともなり、精神的、経済的に極めて不安的状態におかれていることが認められる。また記録によれば、組合の分会の組合員数も12名から4名にまで減少しており、組合活動の中心的な担い手である組合員の被害の蓄積等は、その組合活動一般への抑圧につながっているものと認められ、そのような事態の発生が不当労働行為救済制度の趣旨を損なうものであることは明らかである。そうすると、緊急命令の必要性があるというべきである。 |