概要情報
事件名 |
ミューズ音楽院 |
事件番号 |
東京地裁 平成17年(行ウ)第412号 |
原告 |
個人Y 学校法人神代学園 |
被告 |
東京都(処分行政庁 東京都労働委員会) |
被告補助参加人 |
全労協全国一般東京労働組合 |
判決年月日 |
平成19年2月8日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、Yが経営する音楽学院において、時間外手当の支給基準変更を契機として、組合が結成され、Yが組合が申し入れた団体交渉を拒否し、組合員X1及びX2に対して、教務部長、事業部長の任を解く降格処分等を行ったことが不当労働行為に当たるとして争われた事件である。 東京都労委は、団交拒否及び降格処分を不当労働行為として、団交交渉応諾、降格処分の取消しとバックペイの救済命令を発した。 Y及び音楽学院はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は東京都労委の命令を支持し、Yの請求を棄却した。 |
判決主文 |
1.原告らの請求をいずれも棄却する。 2.訴訟費用は、補助参加によって生じた費用を含め、原告らの負担とする。 |
判決の要旨 |
1 X1に対する降格処分の不当労働行為の成否について ア Yは、①組合からの30回以上の団体交渉申入れについて、約1年にわたり応じなかったこと、②組合分会あての郵便物を受領拒否していたこと、③X1及びX2に対して、ストライキ等について弁明を求めるとともに、組合員やその活動をあからさまに非難する発言をしていたことなどの事実が認められ、組合を相当強固に嫌悪していたことが認定できるとされた例。 イ 上記アに加え、X1に対し、①X1が組合分会長であり、組合活動に従事していたこと、②36協定の締結の失敗により、残業禁止命令を発令したこと、③賞与を合理的理由なく減額したり、不支給としたこと、④本件降格処分の理由を説明していないことなどの事実が認められるから、本件については、不当労働行為(不利益取扱い、支配介入)に該当すると認定するのが相当であり、この認定を覆すに足りる特段の事情(本件降格処分の合理的理由)は認められないとされた例。 2 X2に対する降格処分の不当労働行為の成否について X2の降格処分について、上記1同様の事実から、不当労働行為に当たると一応認定することができ、この認定を覆すためには特段の事情(本件降格処分の合理的理由)があることが必要であるが、Yが主張する降格理由は、本件降格処分よりも8ヶ月も前に発覚した事由であり、また、学園に著しい不利益が発生したとまでは認められず、Yの主張する降格理由の存在をもって、本件降格処分が不当労働行為に当たるとの認定を覆すに足りる特段の事情があるということはできないとされた例。 3 使用者の利益を代表する者の参加を許しているとの理由で団体交渉拒否してはならないとする本件命令の必要性について X1、X2が「使用者の利益を代表する者」に当たると認めるに足りる証拠は存在せず、Yが、約一年にわたり、組合との間の団体交渉を拒否したことは不当労働行為に該当する。また、本件命令にその必要性がないとまではいうことはできないとされた例。なお、「団体交渉をすることを正当な理由なく拒むこと」(労組法7条2号)に該当するか否かは、客観的に判断すべきであって、使用者であるYが、団体交渉拒否について正当な理由があると信じたことに相当な理由があるか否かといった主観的認識は、当該不当労働行為の成否には影響しないものと解するのが相当であり、この点に関するYの主張は失当であるとされた例。 以上のことから、本件命令は適法であり、Yらの請求はいずれも理由がないのでこれらを棄却するとされた例。 |