概要情報
事件名 |
ネスレジャパンホールディング |
事件番号 |
東京都労委平成15年(不)第15号
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申立人 |
ネッスル日本労働組合東京支部 |
被申立人 |
ネスレジャパンホールディング株式会社 |
被申立人 |
ネスレ日本株式会社 |
被申立人 |
ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社 |
命令年月日 |
平成17年 7月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、①労使双方で本部及び支部を一括して行うとする会社提案の団交方式に固執し、その枠内でしか団交に応じないとの態度をとっていること、②14年7月から12月までに行った支部との団交において、団交開催場所への移動時間における賃金控除を行ったこと、③グループ会社との関係に関する説明を拒否したこと等が不当労働行為であるとして、争われた事件である。 東京都労委は、会社に対し、文書交付を命じ、その余の申立ては棄却、グループ会社に対する申立ては、却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人ネスレジャパンホールディング株式会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人ネッスル日本労働組合東京支部に交付しなければならない。
記 年 月 日
ネッスル日本労働組合東京支部
執行委員長 X1 殿
ネスレジャパンホールディング株式会社
代表取締役 Y1
当社が、東京都地方労働委員会(当時)の平成14年不第2号事件の調査期日における確認事項に反して、平成14年7月から12月までに行われた団体交渉に関し団体交渉開催場所への移動時間について貴組合側交渉員の説明要求にもかかわらず他社名義の使用について具体的な説明を行わなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注:年月日は文書をこうした日を記載すること。)
2 被申立人ネスレジャパンホールディング株式会社は、前項を履行したときは、速やかに当 委員会に文書で報告しなければならない。
3 被申立人ネスレジャパンホールディング株式会社に対するその余の申立てを棄却する。
4 被申立人ネスレジャパンホールディング株式会社及び被申立人ネスレ日本株式会社に対す る申立てを却下する。 |
判定の要旨 |
4909 事業分離後の新企業体
被申立人ネスレジャパンホールディングのスタッフ部門である被申立人ネスレジャパンアドミニストレーション及びマーケティング・セールス部門である被申立人ネスレ日本は基本給通知書等に社名の記載があること以上の疎明はなく、これのみでは、両社が申立人支部組合員の使用者に当たると認めることはできないから、本件申立てのうち、使用者に該当しないアドミニストレーション及びネスレ日本を被申立人とする申立てが却下された例。
1204 スト・カット
別件事件の調査調書の確認事項には、「団体交渉および移動時間の組合員の賃金について、会社は賃金カットを行わない」との記載があるにもかかわらず、ホールディングが組合側交渉員が団体交渉開催場所に移動する時間について賃金控除を行ったことは、組合の存在を軽視ないし敵視した支配介入に該当するとされた例。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
2131 支社等の出先機関
東京支部との団交に使用者側交渉員として東京支店の関係者を加えなかったことが、不誠実団交あるいは支配介入ということはできないとされた例。
2214 上部と傘下組合の交渉範囲
2220 共同交渉
ホールディングは組合本部と5支部を一括したいわゆる連名方式の団交に固執しているとの東京支部の主張は、同方式による団交開催によっていかなる支障があったかについての主張がなく、ホールディングは東京支部との団交に応じているから、連名方式による団交申入れが直ちに不当労働行為に当たるとはいえないとされた例。
2240 説明・説得の程度
組合支部が会社組織再編時に、従業員の身分を引き継いだと発表されたネスレジャパンアドミニストレーション及びネスレの社名がいかなる理由で使用されるのか疑問に思うのは無理からぬことであり、組合支部が組合員の労働条件の決定等に疑義を抱いて組織再編成について説明を求めたことには相応の理由があり、ネスレジャパンアドミニストレーション及びネスレ日本の名義を使用することについて具体的回答を行わなかったことは、組合支部との団交に誠実に対応したということはできず、不当労働行為に当たるとされた例。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
ホールディングが団交においてネスレジャパンアドミニストレーション及びネスレ日本の名義を使用することについて具体的説明をしなかったことは不誠実団交の不当労働行為と認められるが、これをもって組合活動の運営に介入し、組合活動を抑制しようとした支配介入の不当労働行為とめまはいえないとされた例。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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