労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  慈恵会新須磨病院 
事件番号  兵庫県労委 平成15年(不)第4号 
申立人  関西合同労働組合兵庫支部 
申立人  関西合同労働組合 
被申立人  医療法人社団慈恵会 
命令年月日  平成17年 3月15日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、法人が、(1)春闘要求書及び夏期一時金要求書に基づく団体交渉に誠意をもって応じていないこと、(2)団体交渉に決裁権及び協約締結権を持つ理事長あるいは理事を参加させてないこと、(3)組合が配布したビラの内容の撤回及び謝罪を団体交渉の前提条件として組合の運営に支配介入していること、(4)就業時間外の組合による法人施設前でのビラ配布行動を妨害していることが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)組合が申し入れた春闘要求書及び夏期一時金要求書に基づく団体交渉の誠実応諾、(2)組合が行うビラ配布に対し、施設管理権を理由にこれを一律に禁止してはならないことを命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人医療法人社団慈恵会は、申立人関西合同労働組合及び同関西合同労働組合兵庫支 部が申し入れた2003年2月18日付け春闘要求書及び同年5月7日付け夏期一時金要求 書に基づく団体交渉に、誠実に応じなければならない。
2 医療法人社団慈恵会は、申立人らが、病院の診療開始時間前に公道から施設入口に至るス ロープ下の通路部分で行うビラ配布に対し、施設管理権を理由にこれを一律に禁止してはな らない。
3 その余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  2232 宣伝活動
2249 その他使用者の態度
組合の配布したビラの内容に法人が医療事故を多発させているかのような内容の記載があり、法人の名誉を毀損する不適切な表現があったとしても、そうした問題は労使間の話合いにおいて解決すべきであり、組合がその記載部分を撤回し、謝罪しない限り全面的に団体交渉に応じないとする法人の対応は正当な拒否理由になるとはいえないから、これは労組法7条2号の不当労働行為に該当するとされた例。

2123 その他交渉出席者
組合は、法人の団体交渉担当者には決定権限がなく、決定権を有する理事長及び病院長が出席しなければ誠実な団体交渉ではない旨主張するが、当事者の取り交わした確認書において理事長や病院長の出席を義務付けていないこともあり、理事長や病院長が団体交渉に出席していなかったことをもって、法人の対応が不誠実な団体交渉に当たるとはいえないとされた例。

0200 宣伝活動
3020 組合活動への制約
組合がビラを配布していた場所は、公道部分及び公道に接した病院施設の出入口付近で、一般人も自由に立ち入ることのできる通路部分であり、病院の診療開始時間前に少数の組合員が平穏にビラを配布するものである限り、救急患者の搬送等法人の業務にさして支障があるとは考え難く、また、施設管理上の支障も生じ難いと推認されるゆえに、これらの場所で組合員がビラを配布する行為も、平穏な態様で、かつ、ビラの内容及び配布方法が正当な組合活動の範囲を逸脱するものでない限り、組合活動の正当性を失わないものと判断されるから、このようなビラ配布行為を施設管理権を理由として一律に禁止することは、組合活動に対する支配介入に該当するとされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成17年(不再)第24号 棄却 平成18年9月20日
東京地裁平成18年(行ウ)第594号 棄却 平成20年1月31日
東京地裁 平成19年(行ク)第9号 緊急命令申立ての認容 平成20年1月31日
東京高裁 平成20年(行コ)第89号 棄却 平成20年7月10日
最高裁平成20年(行ツ)第308号
最高裁平成20年(行ヒ)第355号
上告棄却、上告不受理 平成21年7月7日
 
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