概要情報
事件名 |
東海旅客鉄道(中津川運転区脱退勧奨) |
事件番号 |
中労委 平成 9年(不再)第16号
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再審査申立人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
再審査被申立人 |
ジェイアール東海労働組合 |
命令年月日 |
平成15年 9月17日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、(1)会社助役らをして、会社主催の業務研究会への出張時や主任運転士への昇進試験の面接練習の場などを利用し、組合の中津川運輸区分会所属の組合員2名に対し、脱退慫慂をしたこと、(2)運輸区の区長が、分会掲示板の掲示物(上記(1)に関する抗議声明)を撤去要請したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、愛知地労委は、(1)の一部、面接練習の場でのY1助役の分会員X1に対する発言が、不当労働行為に該当すると判断した上、会社に対し、分会員に対して組合からの脱退を慫慂することによる同組合の運営への支配介入の禁止を命じ、その余の救済申立ては棄却した。会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4603 その他
本件初審命令主文第1項は、会社が、運輸区の首席助役らをして分会所属の組合員に対し、組合からの脱退慫慂行為をして組合の運営に支配介入をしたことが明らかなのであり、単に労働組合法第7条第3号の条文をそのまま表示したものということはできず、しかも、本件初審命令理由をも併せ読めば、その命令の趣旨を具体的なものと判断できるのであるから、会社の本件初審命令を抽象的不作為命令であるとすることはできないとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2625 非組合員化の言動
面接練習におけるY1助役のX1に対する発言は、組合が「のぞみ号」の安全対策問題等に関する運動を展開し、同時に、会社と組合との間で多くの紛争案件が生じていたという労使事情の下で、Y1助役の職制上の立場や、面接練習の場で行われたことを踏まえると、組合にとどまることは昇進において不利益になることを示唆し、会社に批判的な組合に所属していなければ昇進の道が開ける旨ほのめかしたものと認められ、いずれもX1に対して組合からの脱退を慫慂したものとみるのが相当であり、また、面接練習は従業員に対する指導育成の一環としてみるのが相当であるから、これが労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとした初審判断は相当であるとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2004年2月10日 1022号 26頁 
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