概要情報
事件名 |
東海旅客鉄道(中津川運輸区脱退勧奨) |
事件番号 |
愛知地労委 平成 6年(不)第8号
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申立人 |
ジェイアール東海労働組合 |
被申立人 |
東海旅客鉄道株式会社 |
命令年月日 |
平成 9年 5月 1日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社のN運輸区の区長や助役が、組合のN運輸区分会所属の組合員2名に対して組合脱退を働きかけたこと、及び 区長が分会執行委員会が掲出した上記脱退勧奨に対する抗議声明を撤去するよう求めたことが、不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件 |
命令主文 |
1 被申立人東海旅客鉄道株式会社は、申立人ジェイアール東海労働組合名古屋地方本部中津川運輸区分会の組合員に対し、ジェイアール東海労働組合からの脱退を慫慂することによって、同組合の運営に支配介入してはならない。 2 申立人のその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
5121 挙証・採証
首席助役や区長らがX1に対して組合からの脱退を慫慂したことを認めるに足る疎明はない として救済申立てを棄却した例
2610 職制上の地位にある者の言動
区長が組合員X2に送った手紙は、試験の結果と今後とも頑張ってほしい旨を記載したもので、これをもって組合からの脱退を慫慂したとみることはできない とされた例
2610 職制上の地位にある者の言動
区長が組合員X2に手渡した手紙は、試験に不合格となった同人の奮起を促すためのものとみるのが相当であり、脱退を慫慂したものとみることはできない とされた例
2610 職制上の地位にある者の言動
主席助役の「40代でこうありたいなら自分が今どうすべきか考えなければいけない。私の同期でも組合の役員をやっている者もいる。組合で生きていくなら別だが、そうでなければ考えた方がよい。」との昇進試験の面接練習の場におけるTに対する発言は、組合にとどまることは昇進において不利益となることを示し、組合からの脱退を慫慂したものとみるのが相当 とされた例
3410 職制上の地位にある者の言動
面接練習は部下の指導育成の一環として実施されていたものであり、主席助役の発言は、部下の指導育成という職務遂行の過程で行われたものであるから、会社は同人の発言に責を免れない とされた例
2610 職制上の地位にある者の言動
首席助役の「反対、反対ばかりでは良くない」、「現在頑張ればそれ以前のことは会社は問わない」とのX2に対する面接練習における発言は組合が会社の姿勢を批判し、施策の見直しを求める運動を展開していたことを併せ考えると、会社に批判的な組合に所属していなければ昇進の道が開ける旨をほのめかして組合からの脱退を慫慂したものとみるのが相当 とされた例
2610 職制上の地位にある者の言動
区長の分会掲示板に掲出された文書を「外してくれないか」との分会長に対する発言は、その発言内容及び同文書がその後も掲出されたままになっていたことからすると、掲示物を外すよう依頼したものにすぎず、支配介入とまでいうことはできない とされた例
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
申立人は、謝罪文の掲示を求めているが、本件における救済としては主文(支配介入の禁止)をもって足りる とされた例
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集40頁 |
評釈等情報 |
 
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