概要情報
事件名 |
本四海峡バス |
事件番号 |
中労委 平成13年(不再)第44号
中労委 平成13年(不再)第59号
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再審査申立人 |
本四海峡バス株式会社 |
再審査被申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方神戸支部 |
命令年月日 |
平成15年 9月17日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)組合員2名を出勤停止処分としたこと、(2)同出勤停止処分等を議題とする団体交渉申入れに対し、労使関係を認めて応じることはできないとしたこと、(3)組合支部に対して組合事務所及び組合掲示板を貸与しなかったこと等が不当労働行為であるとして争われた事件で、初審兵庫地労委は、会社に対し、(1)出勤停止処分の取消し及びバック・ペイ、(2)団体交渉の応諾、(3)組合事務所の貸与等を命じた。会社は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令を一部変更し、組合事務所の貸与命令を文書手交に改め、その余の再審査の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 中労委平成13年(不再)第59号事件に係る初審命令主文第4項を次のとおり改める。 4 再審査申立人本四海峡バス株式会社は、再審査被申立人全日本港湾労働組合関西地方神 戸支部に対し、本命令書受領後、速やかに下記の文書を手交しなければならない。 記 年 月 日 全日本港湾労働組合関西地方神戸支部 支部執行委員長 X1 殿 本四海峡バス株式会社 代表取締役社長 Y1 記 当社が、洲本営業所において、全日本海員組合に対し組合事務所を貸与していた期間、貴 組合から申入れのあった組合事務所の貸与を拒否したことは、中央労働委員会によって、労 働組合法第7条第3号に 該当する不当労働行為であると認定されました。今後このような 行為を繰り返さないようにいたします。 Ⅱ その余の再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
本件懲戒処分は、いずれもその処分の相当性を欠いており、また、組合員が一度は組合支部を脱退する意志を表明しながら、その意志表明を撤回して支部に留まる旨表明して間もない頃に行われたものであること等を併せ考えると、このことに対する報復としてなされた不利益取扱いであるとともに、支部の影響力を排除する目的で実行された支配介入であるとされた例。
1300 転勤・配転
3500 処分の時期
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
本件転勤命令は、本件懲戒処分の直後突然に発令されたものであり、本件転勤命令によりX2の乗務員手当等の額が大幅に減少したこと及び自宅からの通勤を困難にしたこと並びに同人が副分会長であったことからすると、X2が組合支部からの脱退意思の表明を撤回したことに対する報復としてなされた不利益取扱いであるとともに、営業所における分会活動から副分会長を排除し、組合支部の影響力を減殺することを意図としてなされた支配介入であるとされた例。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
組合支部の組合員は新路線に乗務させない、会社はK組合しか認めない等の発言や個別面談での会社の言動は、組合支部の存在を嫌悪し、その排除を図る意図の下に行われた一連の行為と見るべきで、支部組合員に対する脱退勧奨及び支配介入であるとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3106 その他の行為
K組合に組合事務所を設置・貸与していたにもかかわらず、組合支部には事務所の貸与を拒否しているが、これは会社が組合支部との労使関係を一貫して否認し続けてきた態度の表れであり、支配介入に当たるが、会社は、その後K組合へ組合事務所を貸与していないことなどの事情を勘案し、事務所貸与命令を文書交付に変更するとされた例。
2400 その他
会社は、組合支部に対する会社の姿勢は、「従業員に支部組合員はいない」等の態度をとり続けて一貫して組合支部を団体交渉の相手方として認めず、労働協約の締結を拒否するとの立場をとっているのであり、折衝の内容を見ても、実質的な団体交渉が行われたものと認めることはできないとされた例。
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業種・規模 |
水運業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2004年 2月10日 1022号 27頁 
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