概要情報
事件名 |
本四海峡バス |
事件番号 |
神戸地裁平成13年(行ウ)第39号
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原告 |
全日本港湾労働組合関西地方神戸支部 |
被告 |
兵庫県地方労働委員会 |
被告補助参加人 |
全日本海峡組合 |
被告補助参加人 |
本四海峡株式会社 |
判決年月日 |
平成14年12月26日 |
判決区分 |
救済命令の一部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、組合が、会社の筆頭株主でもある全日本海員組合及び会社に申入れた団交に対して、全日本海員組合は団交の当事者でないとして拒否し、会社は折衝を行うものの、組合との間に労使関係を認めて団交に応じることができないとしたことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 兵庫地労委(平成12年(不)第15号、平成13・8・21決定)は、(1)会社に対し組合が申入れた団交事項のうち別件不当労働行為救済命令(別件命令)の受入れに関する事項を除く交渉事項についての団交に誠実に応じることを命じ、(2)会社に対する別件命令の受入れに関する事項の団交応諾に関する申立ては却下し、(3)その余の会社に対する申立ては棄却し、(4)全日本海員組合に対する申立ては却下したところ、これを不服として組合が行政訴訟を提起した。 神戸地裁は、右(4)の部分を取り消し、原告のその余の請求を棄却した。 |
判決主文 |
一 被告が兵庫県地労委平成十二年(不)第十五号事件について平成十三年八月二一日付で発した命令のうち、主文四項を取り消す。 二 原告のその余の請求を棄却する。 三 訴訟費用は、被告補助参加人本四海峡バス株式会社の参加によって生じた費用については原告の、被告補助参加人全日本海員組合の参加によって生じた費用については同補助参加人の各負担とし、その余の訴訟費用についてはこれを二分し、その一を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。 |
判決の要旨 |
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
5147 その他
別件命令の受入れを議題とする団体交渉応諾を求めることは、結局のところ、別件命令にかかる団体交渉の応諾を求めることと同一に帰するものと解され、会社の対応は別件命令の不履行状態を継続しているものにほかならないから、これが別途新たな不当労働行為であるとは認められず、委員会が、会社に対する別件命令の受け入れについての団体交渉応諾申立てを却下したのは相当である。
4916 企業に影響力を持つ者
一般に使用者とは労働契約上の雇用主をいうものであるが、労働者との間に労働契約関係がなくとも、労働者の人事その他労働関係上の諸利益に直接の影響力ないし支配力を及ぼし得るような地位にある者については、労働組合法第七条の「使用者」に含まれる。
4916 企業に影響力を持つ者
Z労働組合は、会社設立の経緯においても、人的、物的、資本的関係においても、さらには、現実の労務管理面においても、実質的に会社を管理又は支配しているものと認められ、かつ、それがため、組合からの本件団体交渉の申し入れに関しても会社単独では十分な対応ができないでいるものと認められ、Z労働組合は、雇用主ではないが、会社に対する実質的な影響力及び支配力に鑑みると、労働組合法第七条の「使用者」に当たると解するのが相当であるから、委員会が、その使用者性を認めず、Z労働組合に対する各救済申立てを却下したのは違法である。
4505 その他
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
会社は、別件命令に対する不履行の状態を継続させていたが、別件命令の発令後、まったく組合との交渉を拒絶していたわけではなく、組合からの要求書等も受領し、組合との間で折衝を行っていたこと等からすれば、その救済方法として、団体交渉の応諾を命じるだけでは足りず、謝罪・誓約文の手交及びポスト・ノーティスを命じることが必要不可欠であったとまでは認めがたく、委員会が、これら各申立てを棄却し、これを命じなかったことは、裁量権の濫用があったとは認められない。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集37集896頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2003年5月10日 1013号 49頁 
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