事件名 |
聖和学院 |
事件番号 |
中労委 平成12年(不再)第1号
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再審査申立人 |
学校法人聖和学院 |
再審査被申立人 |
神奈川私学単一労働組合・聖和学院分会 |
再審査被申立人 |
神奈川私学教職員組合連合 |
命令年月日 |
平成15年 5月 7日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、学院が、組合の分会長X1の組合活動を嫌悪してX1を学級
担任に任用しなかったことが不当労働行為であると争われた事件で、X1を学級担任に任用したものとして取り扱わなければれな
らいこと等を命じた初審命令を支持して再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 初審命令主文第1項中「平成8年度以降、」を「平成8年度に」
に改める。
2 初審命令主文第1項中「平成8年度以降、」を「平成8年度に」、「神奈川地方労働委員会」を「中央労働委員会」に、
「X2」を「X1」に改める。
3 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1200 降格・不昇格
私教連らは、本件の求める救済としてX1を平成8年度以降学級担に就けなければならないことを求めており、また、学級担任の
任用が各年度ごとになされる担当業務の割振りの性格を有していることからすると、本件は、同8年度にX1を学級担任に任用し
なかったことが不当労働行為に当たるとする申立てと解するのが相当である。
1200 降格・不昇格
1302 就業上の差別
学院が、学級担任の任用基準に適合しないことを理由にX1を昭和61年度以降学級担任に任用せず、特に平成8年度に学級担任
に任用しなかった合理性には疑問が残る。
1603 組合活動上の不利益
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
3700 使用者の認識・嫌悪
学院は、私教連らとの関係において、新倉解雇事件が最終的な終結を見ていない状況下において、学院に勤務する唯一の私教連組
合員で分会長として学院内における中心的活動家であるX1の組合活動を嫌悪し、私教連らの勢力の拡大を抑制し、その影響力を
低めることを企図していたものと推認される。
1602 精神・生活上の不利益
学級担任に任用されないことにより、月額3,000円の学級担任手当が支給されないのであるから、経済的な不利益が存するこ
とは明らかである。
1603 組合活動上の不利益
3700 使用者の認識・嫌悪
X1を学級担任に任用しない理由に疑問が有ること、学院が、分会長としてのX1の組合活動を嫌悪し、私教連の影響力の抑制を
企図していたことを総合勘案すると、学院がX1を平成8年度に学級担任に任用しなかったことは、同人を私教連らの組合員であ
ること及びその組合活動を理由として不利益に取り扱うとともに、私教連らの組織運営に介入したものと判断され、これを労働組
合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとした初審判断は相当である。
4422 その他
本件は判定要旨1のとおり、そもそもX1を平成8年度の学級担任に任用しなかったことが不当労働行為に当たるとする申立てら
れているのであるから、その救済としては平成8年度にX1を学級担任に任用したものとして取り扱うことが適当である。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集126集808頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 2003年10月10日 1018号 19頁
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