概要情報
事件名 |
千石外3社 |
事件番号 |
大阪地労委 平成 5年(不)第28号
大阪地労委 平成 5年(不)第79号
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申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 |
被申立人 |
有限会社イチモリ |
被申立人 |
大阪輸送企業組合 |
被申立人 |
株式会社千石 |
被申立人 |
株式会社一森 |
命令年月日 |
平成 9年 6月26日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
<1>株式会社一森から分離した有限会社イチモリの生コン運転手2名が組合の分会を結成し、イチモリ及び株式会社千石に対し、団交を申し入れたところ、千石がこれを拒否したこと、<2>イチモリの解散に伴い同2名を解雇したこと、<3>イチモリの解散により企業組合に移った生コン運転手3名が組合に加入し、組合が千石に団交を申し入れたところ拒否されたこと及び<4>大阪輸送企業組合が同3名の就労を拒否したことが争われた事件で、<1>(株)一森及び(有)イチモリに対し組合員2名の解雇がなかったものとしての取扱い及びバックペイ(年5分付加)、<2>(株)一森に対し組合員2名の解雇通告に関する団交応諾、<3>企業組合に対し組合員3名の就労拒否がなかったものとしての取扱い及びバックペイ(年5分付加)、<4>(株)一森、(有)イチモリ及び企業組合に対し文書手交を、それぞれ命じ、その余の申立ては却下した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人株式会社一森及び同有限会社イチモリは、同有限会社イチモリによる申立人組合員X1及び同X2に対する平成5年4月27日付け解雇がなかったものとし、被申立人株式会社一森は、同日以降同人らを同社の従業員として取り扱い、解雇の翌日から就労させる日までの間、同人らが得たであろう賃金相当額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 2 被申立人株式会社一森は、申立人から平成5年5月26日付けで被申立人有限会社イチモリに対して申入れのあった団体交渉を同株式会社一森に対して申入れのあったものとして取り扱い、これに速やかに応じなければならない。 3 被申立人大阪輸送企業組合は、申立人組合員X3、同X4及び同X5を従業員として取り扱うとともに、平成5年11月12日以降同人らに対して行った就労拒否がなかったものとして取り扱い、同日以降同人らが就労しておれば得たであろう賃金相当額(同年4月から同年8月の間に支払われた賃金と同様の計算方法により算定したもの)及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 4 被申立人株式会社一森及び同有限会社イチモリは、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 執行委員長 X6 殿 株式会社一森 代表取締役 Y1 有限会社イチモリ 清算人 Y2 下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 (1)貴組合員X1氏及び同X2氏を平成5年4月27日付けで解雇したこと。 (2)貴組合から平成5年5月26日付け団体交渉申入書で申入れのあった団体交渉に応じなかったこと。 5 被申立人大阪輸送企業組合は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 執行委員長 X6 殿 大阪輸送企業組合 代表理事 Y3 当企業組合が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 貴組合員X3氏、同X4氏及び同X5氏に対し平成5年11月12日以降就労拒否を行ったこと。 6 申立人の被申立人らに対するその他の申立ては却下する。 |
判定の要旨 |
1800 会社解散・事業閉鎖
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
イチモリの解散及び組合員2名の解雇は、組合から指摘された無免許営業、過積載等の解消に藉口して、組合員2名を生コン運送業務から排除することを企図してなされたものであり、組合員であるがゆえに不利益に取り扱うとともに組合そのものを排除しようとするものであって、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である。
2242 回答なし
イチモリは、組合から組合員2名の解雇撤回等を議題とする団交申入れを受けており、この団交申入れに応じるべき義務があるところ、一切応じていないのであり、かかるイチモリの行為は労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
4916 企業に影響力を持つ者
一森とイチモリは人的、資本的及び場所的に一体のものであり、それをあえて別法人としたのは、イチモリを生コン運送において労働組合対策を兼ねたものとして設立したからであって、本件労働関係においては両者は事実上同一のものと判断される。
5144 不当労働行為でないことが明白
一森及びイチモリの生コン運転手は、千石とは独立した法人であるイチモリ又は一森の労務指揮監督の下にあり、労働組合法上の使用者は一森及びイチモリであると判断するのが相当であって、千石が組合員2名の解雇及び団交申入れに係る千石に対する請求は却下する。
1401 労務の受領拒否
企業組合は、組合員3名が申立人組合に加入したことを嫌悪し、同人らが企業組合の従業員であることを否定するために償却制かリース制かの選択を強要し、これを拒否した同人らに対し、陸運支局のミキサー車使用禁止という行政処分を契機として企業組合から排除するために就労拒否を行ったものと判断され、かかる企業組合の行為は労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である。
5144 不当労働行為でないことが明白
企業組合は中小企業等協同組合法に基づき設立されたもので、イチモリとは全く別法人であること、また、その運営の実態についてみても、陸運支局の行政指導以降は此花支部において経理の明確化、役員の選出等がなされ法人としての実体的な運営が行われていたことが認められ、これらの事実からすると企業組合は独立した主体と判断されるから、千石に対して申入れられた9.6団交申入れを企業組合に対して申入れられたものとみることはできないので、9.6団交申入れについての企業組合に係る申立ては却下する。
5144 不当労働行為でないことが明白
千石は9.6団交申入れ及び組合員3名の就労拒否に関して使用者たる地位になく、また、イチモリは9.6団交申入れの相手方ではなく組合員3名の就労拒否に関して使用者たる地位にないため、千石及びイチモリに対する9.6団交申入れ及び組合員3名に対する就労拒否に係る申立ては却下する。
4402 企業閉鎖・偽装解散と救済
イチモリについては、既に解散決議が行われており、その登記もなされているから、一森に対し、主文1及び2のとおり命じるのが相当である。
4408 バックペイが認められなかった例
組合は、平成5年11月2日から同月11日の間のX3ら3名に対する就労拒否についても救済を求めるが、同期間は企業組合が陸運支局からミキサー車の使用禁止という行政処分を受けていた期間であるので、救済に当たってはこの期間を除外するのが相当である。
4614 文書手交のみを命じた例
組合は、謝罪文の掲示を求めるが、文書手交をもって足りると考える。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集327頁 |
評釈等情報 |
 
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