概要情報
事件名 |
郵政省延岡郵便局 |
事件番号 |
公労委 昭和36年(不)第32号
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申立人 |
全逓信労働組合宮崎県北部支部 |
被申立人 |
延岡郵便局長 |
命令年月日 |
昭和40年 3月 8日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)郵便局長が強制労働排除についての団体交渉申入れを拒否したこと、(2)支部の上部組織の役員が来局した際、係長らが局舎内での同人の行動を監視し、尾行したこと、(3)組合集会に際し、係長らがメモや写真をとるなどしたこと、(4)庶務会計課長が組合掲示板等に掲示されたビラ等を撤去したこと、(5)組合活動の指導、応援のための来局した上部組織の役員らの組合事務室の出入を妨害したこと、(6)昭和36年9月1日付けで組合役員ら7名の配置転換を行ったこと、(7)郵便局長が支部長との雑談の際、支部長を誹謗する発言をしたことが争われた事件で、ビラを撤去したことに関する文書手交及び組合事務室の入室妨害に関し、組合が遺憾の意の表明を条件とした文書手交をそれぞれ命じ、その他の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、本命令交付の日から7日以内に、下記内容の文書を申立人に交付しなければならない。 記 昭和36年8月、貴組合が掲示したビラ等を撤去し、もって貴組合の運営に介入したことについて、ここに、遺憾の意を表わすとともに、今後このような行為を繰り返さないことを約する。 昭和 年 月 日 全逓信労働組合宮崎県北部支部 支部長 X1 殿 延岡郵便局長 Y1 2 被申立人は、申立人が被申立人に別記内容の文書を提出することを条件として、下記内容の文書を申立人に交付しなければならない。 記 昭和36年8月、貴組合の組合事務所の利用を妨げ、もって貴組合の運営に介入したことについて、ここに、遺憾の意を表わすとともに、今後このような行為を繰り返さないことを約する。 昭和 年 月 日 全逓信労働組合宮崎県北部支部 支部長 X1 殿 延岡郵便局長 Y1 別 記 当組合は、昭和36年8月、上部組合の役員が延岡郵便局に来局した際、組合側の行動に行きすぎた点があったことを認め、遺憾の意を表わす。 昭和 年 月 日 延岡郵便局長 Y1 全逓信労働組合宮崎県北部支部 支部長 X1 殿 3 申立人のその余の申立ては、棄却する。 |
判定の要旨 |
2212 交渉の場所・時間
2213 交渉人数
被申立人が団体交渉の申入れを断ったのは、郵政局業務課長が業務打合せのため来局していたこと、組合が団体交渉を申し入れたのは1時間半位前であったこと、団体交渉が外部の組合員が多数動員されるなかで行なわれることが予告されていたことにあったと考えられるので、不当な拒否であるとはいえない。また、その後上記申入れ事項について団体交渉がもたれなかったことについては、申立組合が交渉申入れを行なう機会は十分あったにもかかわらず、再度交渉申入れをした事実もないので、被申立人のみの責に帰することはできない。
3100 スパイ
上部組合の役員が勤務時間中事務室に無断入室し、大声を発するなどしたので、労働係長らが、その退去を要求しながら同行し、時々メモをとったりしたこと、あるいは組合役員が局庁舎内に無断で入ろうとしたのを防止するため、監視し尾行したことは、そのさいたまたま組合が秘密にしていた連絡場所が被申立人に発見される結果となったとしても、これをもって不当労働行為ということはできない。
3100 スパイ
局長らは組合集会の開催されている公道上におもむき、集会の状況をみ、その場所、時間、参加人員等を記録し、また労働係長らは集会場所に近接した局庁舎の2階から、また庶務会計課長らは1階から集会を傍聴したが、集会の場所が局庁舎内に隣接している公道上であったことおよび時間が大部分の職員の休憩時間中であったことなどからみて、被申立人らが公道上あるいは局庁舎内から集会の様子を眺めることが当然予想される状況であったといわざるをえない。被申立人が組合側の抗議にもかかわらず退去しなかったのはやや不穏当であったとしても、これをもって組合運営に支配介入したというにはあたらない。
3020 組合活動への制約
被申立人が、申立組合の掲示板にはられていたビラおよび赤い旗を、無許可であるとの理由で撤去したが、本来労働組合に掲示板を認めながらも、掲示物について、事前許可を要求することは妥当でないのみならず、掲示物の内容についても被申立人が撤去したことが妥当であると認めるようなものでないから、この被申立人の行為は、申立組合の広報活動に不当に介入した不当労働行為である。
3410 職制上の地位にある者の言動
不当労働行為に該当する上記掲示物撤去行為を直接行なったのは、被申立人(郵便局長)の部下である庶務会計課長であるが、同課長の職責にてらし、不当労働行為の責任は被申立人が負うべきである。
3020 組合活動への制約
組合役員および組合員の組合事務所への出入防止については、上部組合の役員が一般の事務室まで入ってきたため業務の正常な運営が困難になったという事情があったにしても、上部組合の役員が一般の事務室に入るのを防止するためであれば局庁舎の構造上組合事務所の利用を妨げないで局事務室に入ることを防止することが可能であったこと、上部組合の役員のみならず、申立組合の役員であっても他局勤務の者、さらには延岡郵便局勤務の組合員で当日勤務でない者まで入局を拒まれ、組合事務所を利用することができなくなり、申立組合が組合事務所を利用することが相当長期間著しく制限されることとなったことを考えれば、被申立人の組合事務所への組合員の出入防止の措置は、申立組合の運営に介入したものというべきである。
4505 その他
被申立人の組合事務所への出入防止の措置は、申立組合の運営に介入したものではあるが、申立組合の上部組合の役員が被申立人の禁止に反して局事務室に入り大声を発するなど行きすぎた行為をしたことが原因であるから、その責任を被申立人にのみ帰することは妥当でない。したがって申立組合が組合側の行動に行きすぎた点があったことを認め遺憾の意を表する文書を被申立人に提出することを条件として被申立人が申立人に対し、上記6について遺憾の意を表する文書を交付することを適当と認める。
1300 転勤・配転
1302 就業上の差別
組合役員および組合員の配置転換ならびに担務変更は、定員の状況と業務の必要を考慮したものであって申立組合に対する支配介入ではない。
2620 反組合的言動
被申立人の組合役員に対する「ヒットラーみたいだ云々」の発言は、言葉のやりとりの間になされたものにすぎず、この発言をもって申立組合の運営に対する介入ということはできない。
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業種・規模 |
分類不能の産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集 |
評釈等情報 |
 
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