労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  郵政省延岡郵便局 
事件番号  東京高裁昭和40年(行ウ)第41号 
東京高裁昭和40年(行ウ)第65号 
原告  国 
原告  全逓信労働組合宮崎県北部支部 
被告  公共企業体等労働委員会 
被告参加人  国 
被告参加人  全逓信労働組合宮崎県北部支部 
判決年月日  昭和43年 9月 9日 
判決区分  救済命令の一部取消し 
重要度   
事件概要  (1)郵便局長が強制労働排除についての団体交渉申入れを拒否したこと、(2)支部の上部組織の役員が来局した際、係長らが局舎内での同人の行動を監視し、尾行したこと、(3)組合集会に際し、係長らがメモや写真をとるなどしたこと、(4)庶務会計課長が組合掲示板等に掲示されたビラ等を撤去したこと、(5)組合活動の指導、応援のため来局した上部組織の役員らの組合事務室の出入を妨害したこと、(6)昭和36年9月1日付けで組合役員ら7名の配置転換を行ったこと、(7)郵便局長が支部長との雑談の際、支部長を誹謗する発言をしたことが争われた事件で、公労委は、ビラを撤去したことについての文書交付と組合事務室の入室を妨害したことに関し、組合が遺憾の意を表することを条件として文書手交を命じ、その他の申立ては棄却した。
 国及び全逓信労働組合宮崎県北部支部はこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起した。同地裁は、ビラの撤去に関し、組合が遺憾の意を表することを条件として命じた文書手交を除き、救済申立棄却命令を取消した。 
判決主文  (一) 申立人全逓信労働組合宮崎県北部支部対被申立人延岡郵便局長間の公労委昭和36年(不)第32号救済命令申立事件について、被告委員会が昭和40年3月8日付でした命令は、主文第1項を除いてこれを取り消す。
(二) 訴訟費用は、41号事件及び65号事件を通じて全部被告委員会の負担とし、各参加によって生じた部分は、それぞれ当該補助参加人の負担とする。 
判決の要旨  6150 当事者能力・当事者適格
郵便局長に対する救済命令の効力は、終局的には郵便に関する事業の経営主体である国に帰属し、郵便局長ないし国が救済命令に従わなかった場合の緊急命令は、事業の経営主体即ち使用者である国に対して向けられるべきものであると解すべきであるから、国もまた郵便局長を名宛人とした救済命令の取消しを求める法律上の利益を有する。

6225 労委審査手続上の適法要件
救済申立棄却の処分を受けた者は、処分取消の訴訟における請求原因として、単に当該処分が違法であることを主張するのみでは足らず、さらに棄却された事項が、いずれも不当労働行為を構成するものである点まで主張立証する必要があるが、被告労働委員会における原告組合の救済申立が有効であること等救済命令を発する前提としての一般的な形式的要件の存否は被告労働委員会において主張立証すべきである。

4914 経営委任をしている者
6150 当事者能力・当事者適格
使用者に該当しない国の末端行政機関である郵便局長を相手方として発せられた救済命令は、違法無効である。

6230 主張・立証の制限
救済命令取消訴訟の段階での新たな主張・証拠の提出は制限されず、裁判所は、独自の権限に基づいて、何の制約を受けることなく、自由に証拠の採否並びに取捨選択をして、救済命令の事実認定を含めた全ての点について適法性の判断をなし得る。

業種・規模  分類不能の産業 
掲載文献   
評釈等情報  判例時報 昭和44年6月1日  554号 82頁 
労働関係民事裁判例集 19巻5号 1197頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
公労委昭和36年(不)第32号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和40年 3月 8日 決定 
東京高裁昭和43年(行コ)第52号/他 一審への差戻し  昭和45年 2月28日 判決 
東京高裁昭和43年(行コ)第53号/他 一審への差戻し  昭和45年 2月28日 判決 
東京地裁昭和45年(行ウ)第74号 救済申立棄却命令の一部取消し  昭和46年 8月 6日 判決 
東京高裁昭和46年(行コ)第67号/他 一審判決の一部取消し  昭和53年 4月27日 判決 
東京高裁昭和46年(行コ)第66号/他 一審判決の一部取消し  昭和53年 4月27日 判決