事件名 |
郵政省延岡郵便局差戻後控訴 |
事件番号 |
東京高裁昭和46年(行コ)第66号
東京高裁昭和46年(行コ)第67号
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控訴人 |
公共企業体等労働委員会 |
控訴人 |
国 |
控訴人参加人 |
国 |
被控訴人 |
国 |
被控訴人 |
全逓信労働組合宮崎県北部支部 |
判決年月日 |
昭和53年 4月27日 |
判決区分 |
一審判決の一部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
郵便局長の団交申入れを拒否したこと等が争われた事件で、公労委
は、ビラの撤去についての文書交付と組合事務室の入室妨害に関し、組合が遺憾の意を表することを条件として文書手交を命じ、
その他の申立ては棄却した。
国及び全逓信労働組合宮崎県北部支部はこれを不服として、東京地裁に提訴し、同地裁は救済命令を一部取消したが、東京高裁
は一審判決を取消し、東京地裁に差し戻した。
東京地裁は、(1)郵便局長の団交拒否、(2)申立組合役員に対する尾行、(3)申立組合の集会に対する監視がいずれも不
当労働行為を構成しないとして、これらの点に関する救済申立を棄却した部分を取消した。
公労委及び国はこれを不服として、東京高裁に提起したが、同高裁は、上記(1)及び(2)が不当労働行為を構成しないとし
てこれらの点に関する救済命令申立を棄却した部分を取消した部分を取消した。 |
判決主文 |
1. 原判決中申立人控訴人と被申立人延岡郵便局長間の昭和36年
(不)第32号救済命令申立事件につき控訴人が昭和40年3月8日にした原判決書添付の命令書記載の主文第2項ならび第3項
のうち(1)被控訴人が昭和36年8月17日した団体交渉の申入れに対する拒否(2)同月16日の全逓信労働組合宮崎県地区
本部の役員に対する尾行がいずれも不当労働行為を構成しないとしてこれ等の点に関する被控訴人の救済命令申立を棄却した部分
を取消した部分を取消す。
2. 参加人の控訴中右主文第2項を取消した原判決の部分の取消を求める部分を却下する。
3. 控訴人および参加人のその余の控訴を棄却する。
4. 控訴費用は第1、2審を通じこれを5分しその2あてをそれぞれ被控訴人および参加人の各負担とし、その余は控訴人の負
担とする。 |
判決の要旨 |
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
郵便局長が、当該郵便局職員以外の者の局舎内への入構を禁止した措置は、その必要性を是認できず、その結果組合役員らの組合
事務所の使用を妨害したことは、労働組合の運営に対する支配介入として不当労働行為を構成する。
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
労働組合が不当労働行為の誘因となった行為につき遺憾の意を表す文書を使用者に交付することを条件とする救済命令は適法であ
る。
2213 交渉人数
2245 引き延ばし
郵便局長が、打合せ中であったこと及び外部組合員が多数動員されていることを理由として団体交渉の申し入れを拒否したことに
は、正当な理由があり、不当労働行為を構成しない。
2700 威嚇・暴力行為
3100 スパイ
組合書記長に対する尾行は、それにより組合の秘密の連絡場所を発見したのは偶然であって、スパイ行為をする意思があったとは
認められず、不当労働行為に当たらない。
3100 スパイ
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
郵便局長らが、公道上で休憩時間中に開催された組合集会を監視し、その状況を記録し、しかも組合員からの再三の退去要求に応
じなかったことは、組合運営に対する不当な支配介入であり、不当労働行為に当たる。
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業種・規模 |
分類不能の産業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
労働判例 昭和53年7月15日
298号 32頁
別冊ジュリスト労働判例百選(第4版) 山本吉人 1981年8月15日 73号 262頁
別冊ジュリスト労働判例百選(第5版) 香川孝三 1989年3月10日 101号 166頁
労働関係民事裁判例集 29巻2号 262頁
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