概要情報
事件名 |
東洋シート |
事件番号 |
中労委平成3年(不再)第8号
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再審査申立人 |
株式会社 東洋シート |
再審査被申立人 |
全国金属機械労働組合広島地方本部東洋シート支部 |
命令年月日 |
平成 5年 3月17日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、別組合には組合事務所を貸与しながら申立人組合には貸与しなかったこと及び申立人組合の貸与要求を阻止する意図をもって別組合から組合事務所を返還させてこれを解体したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。 初審広島地労委は、申立人組合に対する組合事務所の貸与、組合事務所の場所や広さなどについての誠実協議及び文書掲示を命じ、陳謝文の交付については申立てを棄却した。 使用者側は、これを不服として再審査を申立てたところ、中労委は、組合事務所の今後の取扱いについて誠実に協議することを求める内容に変更したほか、文書掲示について一部変更して初審命令を維持し、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 初審命令主文第1項を次のとおり変更する。 再審査申立人は、全国金属機械労働組合広島地方本部東洋シート支部と組合事務所の今後の取扱いについて、誠実に協議しなければならない。 2 初審命令主文第2項を次のとおり変更する。 再審査申立人は、本命令交付の日から1週間以内に、縦1メートル、横 1.5メートルの白紙に下記の文言を楷書で明瞭に記載し、肩書地の本社正門付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 平成 年 月 日 全国金属機械労働組合 広島地方本部東洋シート支部 執行委員長 X1殿 株式会社 東洋シート 代表取締役 Y1 当社が、貴組合の存在を認めず、東洋シート労働組合には組合事務所を貸与しながら、貴組合にはこれを貸与しなかったことは中央労働委員会において不当労働行為と認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにするとともに、正常な労使関係の形成に努めます。 3 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
5200 除斥期間
本件救済申立ては、同申立時において存する別組合との組合事務所貸与差別の是正を求める趣旨と解するのが相当であり、会社のいわゆる「除斥期間」の主張は採用できないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が別組合に貸与していた新組合事務所を返還させ解体したことは、生産施設を増設する必要があったからであり、以後別組合に貸与した事実はなく、組合の組合事務所貸与要求を阻止する意図をもってのものとは認められないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社が組合分裂直後、旧組合事務所を別組合に貸与して以降、昭和63年1月に、後に貸与した新組合事務所を返還させるまでの間、組合には組合事務所を貸与してこなかったことは、労組法七条三号に該当する不当労働行為とされた例。
4602 組合との協議を命じた例
現在、別組合にも貸与しておらず、組合事務所に関する差別状態は解消しているが、労使関係の経緯からみて、組合事務所の貸与を命じた初審命令を、組合事務所の今後の取扱いについて協議することを求める内容に変更して命じた例。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集96集701頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 平成5年3月10日 855号 17頁 
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