労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  岩井金属工業 
事件番号  大阪地労委平成2年(不)第45号 
申立人  岩井金属労働組合 
被申立人  岩井金属工業 株式会社 
命令年月日  平成 5年 2月12日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合執行委員長X1を解雇したこと、(2)組合員から組合脱退署名を集めたり、組合に対し組合費等の返還を請求させたこと、(3)組合事務所として使用している建物を破壊したこと、(4)組合掲示板を撤去したこと、(5)組合執行委員長X1の組合事務所への立入りを阻止したこと、(6)従業員の組合ビラの受取りを妨害したこと、(7)青年部長X2を班長から降格させたこと、(8)団交申入れに応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
大阪地労委は、(1)について原職復帰を、(3)について組合事務所の提供、(4)について組合掲示板の設置、(7)について班長からの降格処分がなかったものとしての取扱い、(8)について団交に速やかに応じることを命じ、(1)から(8)についてそれぞれの文書掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合執行委員長X1に対する平成2年10月13日付け解雇がなかったものとして取り扱い、同人を原職に復帰させなければならない。
2 被申立人は、申立人組合に対し、申立人と協議のうえ、破壊されたプレハブの建物と同程度のものを組合事務所として従前の場所あるいは会社本社構内のいずれかの場所において提供しなければならない。
3 被申立人は、申立人組合に対し、申立人と協議のうえ、撤去した組合掲示板(従来評議員会が利用していた掲示板を含み、第3物流センターに設置されていた掲示板を除く)を、従前の場所又はこれと同等の場所に設置しなければならない。
4 被申立人は、申立人組合員X2に対する平成2年10月29日付けの班長からの降格処分がなかったものとして取り扱わなければならない。
5 被申立人は、申立人から申入れのあった平成2年10月25日及び同年11月2日付け団体交渉申入書についての団体交渉に速やかに応じなければならない。
6 被申立人は、1メートル×2メートル大の白色板に下記のとおり明瞭に墨書して、被申立人会社の本社玄関付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
              記
                 平成  年  月  日
 岩井金属工業労働組合
  執行委員長 X1殿
              岩井金属工業株式会社
               代表取締役 Y1
 当社が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
              記
1 平成2年10月13日、貴組合執行委員長X1氏を解雇したこと。
2 貴組合組合員に対し貴組合からの脱退署名を集めたこと並びに組合費及び闘争積立金の返還を請求させたこと。
3 貴組合が組合事務所として使用していたプレハブの建物を破壊したこと。
4 貴組合掲示板(従来評議員会が利用していた掲示板を含む)を全て撤去したこと。
5 従業員が貴組合のビラを受け取ることを妨げたこと。
6 貴組合執行委員長X1氏の組合事務所への立入りを阻止したこと。
7 貴組合組合員X2氏を班長から降格させたこと。
8 貴組合から平成2年10月25日及び同年11月2日付けで申入れのあった団体交渉に応じなかったこと。 
判定の要旨  1102 業務命令違反
組合掲示板の撤去を拒否したこと等を理由に組合委員長X1を解雇したことが不当労働行為とされた例。

4000 退職金等の受領
解雇理由が正当でない場合には、解雇された者がその効力を争っている以上、予告手当を支払ったとしても、解雇の効力が生じるものとは解されないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2623 脱退届け作成・提出強要
3410 職制上の地位にある者の言動
会社が、職制を使って組合から組合脱退署名を集めて組合に提出させたことが支配介入とされた例。

3411 その他の従業員の言動
会社が、組合脱退署名を行った従業員をして組合費等の返還を請求させたことが支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3410 職制上の地位にある者の言動
組合が組合事務所として使用していたプレハブの建物を会社係長が破壊したことは、社長の意を汲んで行ったもので、会社の支配介入行為であるとされた例。

3020 組合活動への制約
会社が組合掲示板を一方的に全て撤去したことが支配介入とされた例。

3020 組合活動への制約
会社が職制を動員して従業員に対して組合ビラをゴミ箱に捨てさせたことが支配介入とされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
組合が組合事務所として使用していたプレハブの建物を破壊した会社係長の行為が、社長の意を汲んで行ったもので、会社の行為であるとされた例。

4603 その他
組合事務所として使用していた組合事務所につき、破壊されたプレハブの建物と同程度のものを組合事務所として従前の場所あるいは本社構内のいずれかの場所において提供するよう命じた例。

3020 組合活動への制約
会社が解雇した申立人組合委員長X1に対し、会社構内及び組合事務所への立入りを拒否し続けていることが支配介入にあたるとされた例。

1400 制裁処分
会社が、組合青年部長を班長から降格させたことが不当労働行為とされた例。

2253 受取り拒否・申入れなし
組合の団交申入れに対して、その受取りを拒否したり、団交の日程調整に応じないなど会社の態度は極めて不誠実であるとされた例。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集96集150頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成 5年(不再)第11号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 6年 7月20日 決定 
東京地裁平成 6年(行ク)第76号 全部認容  平成 7年 9月19日 決定 
東京地裁平成 6年(行ウ)第302号 請求の棄却  平成 8年 3月28日 判決 
東京高裁平成 8年(行コ)第45号 控訴の棄却  平成 8年12月10日 判決 
最高裁平成 9年(行ツ)第65号 上告の棄却  平成 9年 9月18日 判決 
 
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