労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(新宿車掌区) 
事件番号  東京地労委昭和62年(不)第46号 
申立人  国鉄労働組合東京地方本部八王子支部新宿車掌区分会 
申立人  国鉄労働組合東京地方本部 
申立人  国鉄労働組合東京地方本部八王子支部 
被申立人  東日本旅客鉄道 株式会社 
命令年月日  昭和63年 2月16日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)車掌である分会員X1を内勤の運転担当から電車乗務へ指定替えしたこと、(2)分会員に対し組合に所属している限りは担当業務の不利益な変更がありうる旨の威嚇言動を行ったことが争われた事件で、分会員X1の現職復帰、威嚇的言動及び組合所属を理由とする担当業務の指定変更の禁止、ポスト・ノーティス及び命令の履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人東日本旅客鉄道株式会社は、申立人国鉄労働組合東京地方本部八王子支部新宿車掌区分会所属の組合員X1に対し、昭和62年6月8日付で行った内勤の運転担当から電車乗務への指定替えを撤回し、内勤の運転担当に復帰させなければならない。
2 被申立人会社は、申立人分会所属の組合員に対し、申立外国鉄労働組合に所属している限りは担当業務の不利益な指定変更がありうる旨の言動を行ってはならず、また申立外同組合に所属していることを理由としてそのような担当業務の指定変更を行ってはならない。
3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書し、被申立人会社の新宿車掌区内で従業員の見易い場所に10日間掲示しなければならない。
                記
                昭和  年  月  日
  国鉄労働組合東京地方本部
  執行委員長 X2 殿
  国鉄労働組合東京地方本部八王子支部
  執行委員長 X3 殿
  国鉄労働組合東京地方本部八王子支部新宿車掌区分会
  執行委員長 X4 殿
              東日本旅客鉄道株式会社
              代表取締役 Y1

 当社が、昭和62年6月8日付で、貴組合所属の組合員X1氏に対し内勤の運転担当から電車乗務へ指定替えをしたこと、および分会員X5、X6の両氏に対し、国鉄労働組合に所属している限りは担当業務の不利益な指定変更がありうる旨の言動を行ったことは、いずれも不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注、年月日は文書を掲示した日を記載すること。)
4 被申立人会社は、前第1項および第3項の命令を履行したときは速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
車掌の組合員X1を内勤の運転担当から電車乗務へ担当指定替えしたことが支配介入とされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
指導助役が国労組合員に対し国労にとどまる限りは不利益な担務の指定変更もありうるとの威嚇的言動を行ったことが支配介入とされた例。

3410 職制上の地位にある者の言動
指導助役の威嚇的言動が、区長の意を体して行われた会社そのものの行為とされた例。

3900 「不利益の範囲」
車掌を内勤の運転担当から電車乗務へ担務の指定替えが、実質的にはいわば二段階下の業務への格下げに該当する不利益処分であるとされた例。

4416 将来にわたる不作為を命じた例
組合員X1に対する指定替え等の救済として、指定替えの撤回、ポスト・ノーティス等にとどまらず、将来における組合所属を理由とする担当業務指定変更の禁止を命じた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集83集199頁 
評釈等情報  労働判例 1988年6月1日  515号 72頁 
労働法律旬報 1988年3月25日 1188号 85頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委昭和63年(不再)第14号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和63年12月 7日 決定 
東京地裁平成 1年(行ウ)第34号 請求の棄却  平成 4年 7月27日 判決 
東京高裁平成 4年(行コ)第92号 控訴の棄却  平成 5年 5月20日 判決 
最高裁平成 5年(行ツ)第144号 上告の棄却  平成 6年11月11日 判決 
 
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