概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(新宿車掌区) |
事件番号 |
東京地裁平成 1年(行ウ)第34号
|
原告 |
東日本旅客鉄道 株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部他2名 |
判決年月日 |
平成 4年 7月27日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が、(1)国労東京地本八王子支部新宿車掌区分会の組合員X1を内勤の運転担当から電車乗務へ業務の指定替えをしたこと、(2)区長らが同分会所属の組合員に対し、国労を脱退しない場合、担当業務の不利益な変更がある旨発言したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審東京地労委は、会社に対し、(1)組合員X1の指定替えを撤回し、原職復帰させること、(2)国労組合員に対し、組合所属を理由とする不利益な担当業務の変更を行う旨の言動を行ってはならず、また不利益な担当業務の変更を行わないことを命じ、中労委もこれを維持したところ、会社は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、会社の請求を棄却する判決を言い渡した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、補助参加によって生じた費用を含め、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
1302 就業上の差別
労組法7条1号の「不利益」とは、賃金の減少等の経済的不利益性などの有無に限らず、従業員らの一般的な認識などにおいて不利益であると受け止めるような取扱いであれば、客観的根拠のあるかぎり、不利益性があるというべきである。
1302 就業上の差別
組合員X1を内勤の運転担当から電車乗務へ担務指定したことにつき、本件指定変更を行ったY1区長の意図は、脱退勧奨に応じないことへの報復・みせしめとするためのものであるから、労組法7条1号の不利益取扱いに当たる。
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
本件担務指定変更は、労組法7条1号に該当し、また、Y1区長が組合の弱体化を企図していたものといえるから、組合の組織運営に介入するものとして同条3号にも該当する。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
Y2指導助役による組合員X2、X3に対する交番上の不利益取扱いを示唆してなした脱退勧奨は、Y1区長の意を体して組合の組織運営に介入するものとして労組法7条3号に該当する。
|
業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集27集150頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 43巻4号 715頁 
判例時報 1431号 162頁 
判例タイムズ 802号 145頁 
労働判例 614号 56頁 
|