概要情報
事件名 |
三八五交通 |
事件番号 |
青森地労委昭和58年(不)第26号
青森地労委昭和59年(不)第10号
青森地労委昭和59年(不)第11号
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申立人 |
三八五交通労働組合 |
被申立人 |
三八五交通 株式会社 |
命令年月日 |
昭和60年11月 5日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)観光ハイヤーの配車について、申立人組合の組合員と別組合の組合員との間に差をつけたこと、(2)組合員5名に対する配転ないし乗務変更、(3)三六協定の締結拒否、(4)三六協定未締結期間中の組合員に対する配転及び同協定未締結を理由とする交番変更等が争われた事件で、(1)三六協定の締結拒否により組合員らが受けた損失相当額を考慮した金員 7,200,000円の組合への支払い、(2)上記(1)及び(4)の配転に関する文書の手交及びポスト・ノーティスを命じ、上記(2)及び、配車差別によって生じた賃金格差の支払い並びに三六協定締結拒否の禁止等を求める申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人三八五交通株式会社は、申立人三八五交通労働組合に対し、 7,200,000円を支払わなければならない。 2 被申立人は、この命令書の写しの交付の日から7日以内に下記の文書を申立人に手交するとともに、同一内容の文書を縦1メートル、横2メートルの白色木板に読みやすく墨書して、被申立人本社の正面玄関及び各営業所の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 昭和 年 月 日 三八五交通労働組合 執行委員長 X1 殿 三八五交通株式会社 代表取締役 Y1 当社が貴組合の組合員を観光ハイヤーの配車において差別したこと及び昭和59年10月21日から12月13日までの間、乗務員に対し、配置転換を行ったことは、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると青森県地方労働委員会に設定されました。 よって、当社は今後このような不当労働行為を繰り返さないことを誓います。 (注、年月日は、文書を掲示する日を記載すること。) 3 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1302 就業上の差別
3103 労働協約締結をめぐる行為
別組合員が多数となった営業所においては、別組合員を営業所代表として三六協定を締結しながら、申立人組合員が多数を占める営業所においては三六協定の締結を拒否し、申立人組合員に時間外労働をさせなかったことが、不当労働行為とされた例。
2901 組合無視
申立人組合員と別組合員との間で、観光ハイヤーの配車回数に差をつけたことが不当労働行為とされた例。
2901 組合無視
三六協定未締結期間中の申立人組合の組合員に対する配転・交番変更は、別組合の組合員のみに時間外労働をさせ、申立人組合の組合員には時間外労働をさせないという差別状態を作り出し、これを維持するための手段として行われたものと認められ、これにより、申立人組合の壊滅を図ったもので、不当労働行為とされた例。
3201 不当労働行為とされなかった例
観光ハイヤーの配車差別が労委で争われているさなかに組合員5名に対してなされた配転ないし乗務変更は、同人らが受けた不利益について具体的な疎明がない以上、労組法7条4号に該当するとは判断し難いとされた例。
4421 文書掲示等を命じた例
観光ハイヤーの配車差別に対する救済として、配車差別の禁止、陳謝文の掲示、公正な配車のための具体的な施策の実施、差別によって生じた賃金格差の是正を求めたのに対し、個人の受けた損害が具体的に確定できないこと、救済対象者のほとんどが組合を脱退していること等を勘案し、文書手交及びポスト・ノーティスを命ずるのが相当であるとされた例。
4407 バックペイの支払い方法
三六協定の締結拒否に対する救済として、組合員が時間外労働ができなかったことによって生じた時間外・深夜労働の割増賃金及び歩合給の損失分並びに三六協定の締結を拒否していた期間を算定期間に含む昭和59年年末及び昭和60年夏期一時金の損失相当額を考慮した金員 7,200,000円を組合に支払うよう命じた例。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集78集379頁 |
評釈等情報 |
 
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