労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  教育社 
事件番号  中労委昭和51年(不再)第5号 
中労委昭和51年(不再)第8号 
再審査申立人  株式会社 教育社 
再審査申立人  教育社労働組合ほか10名 
再審査被申立人  教育社労働組合ほか10名 
再審査被申立人  株式会社 教育社 
命令年月日  昭和61年 5月 7日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  会社が、昭和46年の本社社屋移転に伴う労使紛争において、違法な 争議行為を企画、実行したとして組合幹部ら10名を懲戒解雇したことが争われた事件で、10名の原職又は原職相当職への復帰 を命じ、バック・ペイ及びポスト・ノーティスの申立てを棄却した初審命令のうち、会社を退職した5名の原職復帰を命じた部分 は取消し、スト解除通告後の就労拒否の期間については賃金支払いを命ずるのが相当であるとし、これらに関する初審命令主文を 変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  1 初審命令主文第1項中「申立人X1、同X2、同X3、同X4、 同X5、同X6、同X7、同X  8、同X9、同X10ら10名」を「申立人X2、同X3、同X5、同X6及び同X7」に改 める。
2 初審命令主文第2項として次のとおり追加する。
被申立人株式会社教育社は、申立人X1、同X2、同X3、同X4、同X5、同X6、同X7、同X8、同X9、同X10に対し て昭和51年1月13日から同年5月31日までの間の賃金相当額を支払わなければならない。
3 初審命令主文第2項を第3項とする。
4 その余の本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
編集業務が著しく遅れたため、編集主任が別の場所でアルバイトを使用して編集業務を続けていたところ、組合員がこれに抗議し 室内の窓や壁にビラを貼付したことは行き過ぎであるとされた例。

0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
組合員X9が、社長執筆にかかる原稿を持ち去ったことは、会社が組合員を除外して業務を進めることに対する抗議のためとはい え行き過ぎであるとされた例。

0202 会社施設の利用
3605 他の処分で決着ずみのものを対象とした場合
争議期間中、組合が旧本社の事務室と廊下に組合員の泊込みを始めた原因は、会社が深夜に業務資材を運び出したことに端を発し たものでその態様も排他的に施設を占拠したものとは認められず組合を一方的に非難することは相当でないとされた例。

0202 会社施設の利用
3605 他の処分で決着ずみのものを対象とした場合
組合が会社に無断で現本社敷地内に組合事務所を建築したこと等は行き過ぎた行為であるが、会社が従来の経緯を無視して社屋内 に組合事務所を認めない態度に出たことに端を発したものであることから組合のみを一方的に非難するのは酷であるとされた例。

0203 職場闘争と業務妨害
3605 他の処分で決着ずみのものを対象とした場合
非組合員の机の引出しや保管ケースに施錠あるいは封印して原稿を提出しなかったことは業務命令違反といわざるをえないが、賃 上げに関する団交が進展せず、スト突入直前の状況にあったことからみて、組合を一方的に非難することは相当でないとされた 例。

0211 その他の組合活動
3605 他の処分で決着ずみのものを対象とした場合
組合員が原稿提出命令に応じなかったとしても、会社が事態を解決する努力をするよりも組合員から仕事を取り上げ、編集業務か ら組合員を排除する等の事情が認められる本件の場合、組合員を一方的に非難するのは当たらないとされた例。

0414 ピケッティング
争議期間中に組合員が会社の印刷物等を搬出しようとするトラックのまわりに寝そべったり、運転席に乗り込むなどしてこれを妨 げたことが行き過ぎであるとされた例。

0421 幹部責任
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
3700 使用者の認識・嫌悪
昭和46年春闘、本社社屋移転に伴う組合事務所問題、編集業務等をめぐる労使紛争における違法争議行為等を理由に組合幹部ら 10名を懲戒解雇したことは、組合の行き過ぎた行為に藉口してなされた不当労働行為であるとされた例。

4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社は、初審命令の履行勧告の趣旨に沿う形で申立人X1ら10名を会社に仮に復帰させているが、なお、争う意思を示してお り、原職復帰については救済の必要が認められるとされた例。

4302 組合員資格喪失者(含組合脱退・死亡)
会社に仮に復帰した後、会社を退職した5名については原職復帰に由なきものとされた例。

4408 バックペイが認められなかった例
申立人X1ら10名は、同人らが解雇される前日から初審命令の交付日まで無期限ストを続けていたこと等を考慮し、賃金相当額 の支払いを命じなかった初審判断は相当とされた例。

4408 バックペイが認められなかった例
組合がスト中止を会社に通告した日以降、組合員が就労するまでの間の支払いを命じた例。

業種・規模  出版・印刷・同関連産業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集79集768頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地労委昭和47年(不)第23号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和50年12月16日 決定 
東京地裁昭和61年(行ウ)第113号・第140号 救済命令の一部取消し  平成 8年10月24日 判決 
東京高裁平成 8年(行コ)第140号・第141号・第143号 
控訴の棄却   平成11年 9月 7日 判決 
最高裁平成11年(行ツ)第275号
最高裁平成11年(行ヒ)第209号
上告棄却・上告不受理  平成12年11月28日 決定 
最高裁平成11年(行ツ)第276号
最高裁平成11年(行ヒ)第210号
上告棄却・上告不受理  平成12年11月28日 判決 
 
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