労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  亮正会高津中央病院 
事件番号  神奈川地労委昭和60年(不)第30号 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 
被申立人  医療法人 社団亮正会 
命令年月日  昭和61年 5月19日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  病院が、(1)冬季一時金交渉に当たり、組合側交渉員数3名以内に固執し、団交を拒否したこと、(2)パートタイマー、臨時職員の冬季一時金について、組合の要求に対し実質的回答をしなかったこと、(3)上記(2)の内容を受入れない限り組合員に対しては一時金を一切支給しないとの態度を取り、支給を遅延させたことが争われた事件で、(1)組合側が交渉員を3名にしないことを理由に団交を拒否してはならないこと、(2)パートタイマー等の冬季一時金に関し、組合と誠実に団交をすること、(3)組合員に対して非組合員に支給した冬季一時金と同一基準により算出した金額(年5分加算)を支払うこと、(4)陳謝文の掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、組合側が交渉員数を3名以内にしないことを理由に、申立人らの申し入れる 団体交渉を拒否してはならない。
2 被申立人は、パートタイマー、臨時職員の昭和60年冬季一時金に関し、「社団において別 途決定する。」との態度を改め、申立人らと誠実に協議しなければならない。
3 被申立人は、申立人総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 組合員に対して、非組合員に支給した昭和60年冬季一時金と同一基準により算出した金額と 昭和60年12月14日以降上記金員の支払の日までの間について同金額に年5分の割合を乗じて 算出した金額との合算額に相当する金員を支払わなければならない。
4 被申立人は、本命令受領後速やかに下記の陳謝文を縦1m×横2mの白色木板に楷書で墨 書し、被申立人の経営する病院の職員食堂内の職員の見やすい場所に毀損することなく10日 間掲示しなければならない。
                  陳  謝  文
  当社団が行った次の行為は、神奈川県地方労働委員会により不当労働行為と認定されまし た。当社団は、ここに深く陳謝するとともに、今後再びかかる行為を繰り返さないことを誓 約します。
  (1)昭和60年冬季一時金交渉に当たり、貴組合が団体交渉員数を3名以内としなければ団体   交渉に応じないとして団体交渉を拒否したこと。
  (2)昭和60年11月25日付け回答書において、パートタイマー、臨時職員の一時金については   社団が別途決定するとして、パートタイマー、臨時職員に関する貴組合の要求に対し、   実質的回答をしなかったこと。
  (3)昭和60年冬季一時金についての団体交渉を拒否し、非組合員についてのみこれを支給す   るなど、貴組合員に対して不利益を与えるとともに貴組合に対する支配介入を図ったこ   と。
                              昭和  年  月  日
   総評全国一般労働組合神奈川地方連合
    川崎地域支部
     執行委員長 X1 殿
   総評全国一般労働組合神奈川地方連合
    川崎地域支部高津中央病院分会
     執行委員長 X2 殿
                         医療法人社団 亮正会
                          理事長 Y1 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
非組合員に対しては冬季一時金を支給しながら、組合員に対しては支給しなかったことが不当労働行為とされた例。

2213 交渉人数
組合が交渉員数を3名以内にしないことを理由に、組合の申し入れた昭和60年冬季一時金交渉を拒否したことが団交拒否とされた例。

2242 回答なし
パートタイマー、臨時職員の冬季一時金について組合の要求に対し具体的回答をしなかったりしたことが不当労働行為とされた例。

4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
社団は、本件と類似する一時金交渉に関する紛争、団交拒否について、既に4件の命令を交付されながら、これらのことをいっさい顧慮することなく本件不当労働行為を引き起こしているので、陳謝文の掲示を命ずるのが相当であるとされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集79集549頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川地労委昭和60年(不)第15号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和61年 2月27日 決定 
中労委昭和61年(不再)第18号/他 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和63年 3月 2日 決定 
中労委昭和61年(不再)第37号/他 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和63年 3月 2日 決定 
東京地裁昭和63年(行ウ)第65号 請求の棄却  平成 2年11月 8日 判決 
東京高裁平成 2年(行コ)第165号 控訴の棄却  平成 3年 6月19日 判決 
 
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