概要情報
事件名 |
亮正会高津中央病院 |
事件番号 |
東京地裁昭和63年(行ウ)第65号
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原告 |
医療法人社団 亮正会 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 |
被告参加人 |
総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 |
判決年月日 |
平成 2年11月 8日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、病院が、(1)組合の昭和60年夏季及び冬季の一時金要求に対し、病院は、パートタイマー及び臨時職員については、別途決定すると回答し、この回答に組合が同意しないことを理由として、組合員に当該一時金その他の問題に関する団体交渉の申入れに対し、これを拒否したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審神奈川地労委は、これらの行為が不当労働行為であるとして、(1)当該一時金の支払い、(2)団体交渉拒否の禁止、(3)支配介入の禁止及びポスト・ノーティスを命じ、中労委は初審命令を維持し、病院の再審査申立てを棄却したところ、病院は、これを不服として東京地裁に訴えを提起したが、同地裁は、病院の請求を棄却した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、補助参加によって生じたものを含め、すべて原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
2113 交渉団体として不適格
支部、分会の組織事情や交渉当事者適格については、多数回の文書の授受及び労委の資格決定書などにより病院は充分承知していたもので、このことを理由に一時金の団体交渉を拒否したことは労組法7条2号所定の不当労働行為に当たる。
1201 支払い遅延・給付差別
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
病院が正当な理由なく団体交渉を拒否したは、これにより夏季一時金の妥結を遅延せしめて、ひいては組合員の動揺を誘い、分会の内部的混乱や弱体化を招くことを意図したものといえ、労組法7条3号所定の不当労働行為にも当たる。
1201 支払い遅延・給付差別
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
パートタイマー等の一時金は別途決定するとの病院の回答は分会としては到底受け入れ難いものであり、これに固執した病院の態度は、夏季一時金支給の遅延による分会の内部的混乱等を意図した労組法7条3号所定の不当労働行為に当たる。
1201 支払い遅延・給付差別
2900 非組合員の優遇
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
病院は一時金交渉に応じず、一般職員のみ分離妥結したい旨の分会の申入れを拒否する等の一方で、受領承諾書を提出した非組合員のみ夏季一時金を支給したことは、分会の弱体化を意図した労組法7条1、3号所定の不当労働行為に当たる。
2213 交渉人数
本件労使事情からすると、交渉員3名以内との条件に同意しないことを理由に冬季一時金に関する団体交渉に応じなかったことは、正当な理由なく団体交渉を拒否したもので、労組法7条2号の所定の不当労働行為に当たる。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
病院は団体交渉に応じるに当たって、分会の名称変更の件について今なお疑義を抱いており、今後も組織事情等について釈明しないことを理由に団交を拒否する可能性が認められるから、団交応諾命令の必要性が消滅していたとはいえない。
5008 その他
仮処分命令と救済命令とは、その目的、性質及び効力を異にするもので金銭の仮払いがなされているときでも、労委は、同一の救済措置を講じることができ、本件もこの点において救済の必要性が消滅していたとはいえない。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
冬季一時金の支給を命じる救済措置を履行するには、これに先立ちその基準を明確にしなければならないのであり、これを明確にさせるため、パートタイマー等の一時金について誠実に協議するよう命じたことに救済の必要性を欠くことはない。
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
病院は、交渉開催の条件である交渉員を3名程度と変更しているが、この条件に同意しなければ団交に応じないとの態度を採り続けており、3名程度と変更しているが、この条件に同意しなければ団交に応じないとの態度を採り続けており、3名以内にしないことを理由に団交を拒否してはならないという本件救済の必要性は失われていない。
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
本件ポストノーティスには「陳謝」、「誓約」との文言が用いられているが、それは同種不当労働行為を繰り返さない旨の約束文言を強調するにすぎず、謝罪等の意思表明を要求するものとは解されず、憲法19条違反の主張は当たらない。
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
中労委は、ポストノーティスの陳謝誓約型の文言を労委認定型に変更してきたのに、本件に限りそのような措置を採っていないのは平等原則に反するとの主張は、これを認めるに足りる証拠はなく、その前提を欠く。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集25集589頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 41巻6号 913頁 
労働判例 574号 14頁 
中央労働時報 821号 39頁 
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