労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  亮正会高津中央病院 
事件番号  神奈川地労委昭和60年(不)第15号 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部 
申立人  総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 
被申立人  医療法人 社団亮正会 
命令年月日  昭和61年 2月27日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  病院が、(1)組合が組織事情等について釈明しないことを理由に団交に応じなかったこと、(2)昭和60年夏季一時金要求に対し、パートタイマー等については別途決定すると回答し、この回答に組合が同意して妥結しない限り一時金を支給しないとの態度をとり、組合員に対する支給を遅延させたことが争われた事件で、(1)非組合員に支給した日の翌日から組合員に仮払金を支給した日までの間について、非組合員に支給した夏季一時金と同一基準により算出した金額に年5分の割合を乗じて算出した額に相当する金員の支払い、(2)組合が組織事情等について釈明しないことを理とする団交拒否の禁止、(3)一時金の解決を不当に遅延させることによる支配介入の禁止、及び(4)陳謝文の掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津中央病院分会 組合員に対して、昭和60年夏季一時金に関し、非組合員に支給した日の翌日から分会組合員 に仮払金を支給した日までの間について、非組合員に支給した夏季一時金と同一基準により 算出した金額に年5分の割合を乗じて算出した額に相当する金員を支払わなければならな  い。
2 被申立人は、申立人組合が組織事情、当事者適格等について釈明しないことを理由に、申 立人組合の申し入れる団体交渉を拒否してはならない。
3 被申立人は、パートタイマー、臨時職員の一時金に関し、被申立人の「社団において別途 決定する。」との回答に対して申立人分会が同意しないことを理由に、分会組合員に一時金 を支給しないなど、解決を不当に遅延させることによって申立人分会の運営に支配介入して はならない。
4 被申立人は、本命令受領後速やかに下記の陳謝文を縦1m×横2mの白色木板に楷書で墨 書し、被申立人の経営する病院の2号館入口付近の従業員の見やすい場所に、毀損すること なく1週間掲示しなければならない。
                  陳  謝  文
  当社団が行った次の行為は、神奈川県地方労働委員会により不当労働行為と認定されまし た。当社団は、ここに陳謝するとともに、今後再びかかる行為を繰り返さないことを誓約し ます。
  (1)貴組合の昭和60年夏季一時金要求に対し、パートタイマー、臨時職員については当社団   が別途決定すると回答し、この回答に貴組合が同意し妥結しない限り貴組合員に対して   は夏季一時金を支給しないとの態度をとり、貴組合を無視して非組合員についてのみこ   れを支給する等、貴組合員に対して不利益を与えるとともに貴組合に対する支配介入を   図ったこと。
  (2)交渉相手として適格性に疑いがある等の理由により貴組合の申し入れた団体交渉に応じ   なかったこと。
                              昭和  年  月  日
   総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部
    執行委員長 X1 殿
   総評全国一般労働組合神奈川地方連合川崎地域支部高津
    中央病院分会
     執行委員長 X2 殿
                            医療法人社団亮正会
                             理事長 Y1 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
夏季一時金要求に対し、パートタイマー等については別途決定すると回答し、この回答に組合が同意妥結しないかぎり組合員に対しては夏季一時金を支給しないとの態度をとり支給を遅延させたことが不当労働行為とされた例。

2113 交渉団体として不適格
組合の交渉当事者としての適格性に疑いがある等の理由により団交に応じないことが不当労働行為とされた例。

4406 バックペイに利子・付加金を付したもの
組合員に対してのみは夏季一時金の支給を遅延させたことに対する救済として、組合員らは仮処分決定により仮払金を受領していることから、非組合員に支給した日の翌日から組合員に仮払金を支給した日の翌日までの間について、非組合員に支給した夏季一時金と同一基準により算出した金額に年5分の割合を乗じて算出した額に相当する金員を支払うことを命ずるのが相当とされた例。

4617 その他
社団は、既に本件と類似する4件の命令を交付されながら、これらを一切顧慮することなく本件事件を引き起こしているので、陳謝文の掲示を命ずるのが相当であるとされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集79集293頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
神奈川地労委昭和60年(不)第30号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和61年 5月19日 決定 
中労委昭和61年(不再)第18号/他 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和63年 3月 2日 決定 
中労委昭和61年(不再)第37号/他 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和63年 3月 2日 決定 
東京地裁昭和63年(行ウ)第65号 請求の棄却  平成 2年11月 8日 判決 
東京高裁平成 2年(行コ)第165号 控訴の棄却  平成 3年 6月19日 判決 
 
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