概要情報
事件名 |
潮文社 |
事件番号 |
東京地労委 昭和57年(不)第56号
東京地労委 昭和58年(不)第29号
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申立人 |
東京出版合同労働組合 |
被申立人 |
株式会社 潮文社 |
命令年月日 |
昭和59年 2月 7日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)賃上げ及び夏期一時金に関する団交において、具体的資料を示さないなど誠意ある対応をしなかったこと、(2)組合員2名に対し賃上げを実施しなかったこと、(3)パート組合員1名に対し時給の引上げを行わなかったこと、(4)同人に対し雇用期間満了退職とする旨の通告をしたことが争われた事件で、(1)賃上げ及び一時金に関し誠意をもって団交に応じること、(2)組合員2名に対する賃金の引上げ及び差額の支払い、(3)パート組合員に対する時給の引上げ及び差額の支払、(4)同人の原職復帰バックペイ及び(5)文書手交を命じポスト・ノーティスについては申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人株式会社潮文社は、申立人東京出版合同労働組合が申入れた賃上げ、一時金に関する団体交渉に、会社の経理関係資料および査定の項目・基準を示して充分な説明をするなど、誠意をもって応じなければならない。 2 被申立人会社は、昭和57年4月分から申立人組合員X1および同X2の賃金を 3,000円引上げ、すでに支払った額との差額を支払わなければならない。 3 被申立人会社は、申立人組合員X3に対し、次の措置をとらなければならない。 (1) 昭和57年4月1日から昭和58年3月31日までの時給を 650円とし、すでに支払った額との差額を支払うこと。 (2) 昭和58年3月31日付雇用契約更新拒絶の意思表示(本件においては期間満了退職と表示)を撤回して原職に復帰させ、同年4月1日から復帰までの間に受けるはずであった賃金相当額を支払うこと。 4 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記の内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。 記 昭和 年 月 日 東京出版合同労働組合 執行委員長 X4 殿 株式会社 潮 文 社 代表取締役 Y1 当社が行った下記の行為は、不当労働行為であると東京都地方労働委員会において認定されました。今後はこのような行為を繰り返さないよう留意いたします。 1.貴組合員が申入れた賃上げ、一時金に関する団体交渉に、具体的な資料を示して充分な説明を行わず、誠意ある対応をしなかったこと。 2.貴組合員X1氏およびX2氏の賃金を、昭和57年4月分から引上げなかったこと。 3.貴組合員X3氏の(1) 昭和57年4月1日から昭和58年3月31日までの時給を引上げなかったこと、(2) 同氏に対し昭和58年3月31日付で期間満了退職の通告(雇用契約更新拒絶の意思表示)をしたこと。 5 被申立人会社は、前記各項を履行したときは、すみやかに当委員会に文書で報告しなければならない。 |
判定の要旨 |
1106 契約更新拒否
契約期間満了を理由として契約更新を拒絶したことが、合理的理由がなく不当労働行為であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
賃金の不均衡是正を理由とする非組合員のみの賃上げが組合員に対する不利益取扱いとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
雇用契約期間満了のパート組合員に対し契約更新をせずに新規採用扱いとして賃上げをゼロとしたことが不利益取扱いとされた例。
2240 説明・説得の程度
賃上げ、一時金に関する団交において、具体的資料を示さなかったことなどが誠意をもって団交に応じたとはいえないとされた例。
4415 賃金是正を命じた例
賃上げをゼロ査定された組合員にかかる救済として、被救済者の遅刻、欠勤の回数の多寡を勘案し非組合員の賃上げ率を下回る賃上げを命じた例。
4415 賃金是正を命じた例
賃上げがゼロ査定とされた臨時職員にかかる救済として、従前の賃上げ実績と同額の賃上げを命じた例。
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業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集75集126頁 |
評釈等情報 |
 
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