労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本サーキット工業 
事件番号  愛知地労委昭和55年(不)第3号 
申立人  X1 
被申立人  日本サーキット工業 株式会社 
命令年月日  昭和58年 3月31日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  企業支部組合の中核的活動家である申立人X1を、他の従業員から隔離した状態で業務上の必要性に乏しい業務に従事させたり、長期間にわたり仕事を与えなかったりしたこと、昭和54年度から同56年度までの各賃上げ、一時金の考課において、考課の評定点を常に社内最低としたことが争われた事件で、X1が前に所掌していた業務を担当している部署へX1を配属し、正常な業務に就かせること、昭和54年度から同56年度の各賃上げ及び一時金の考課率を一般従業員の平均考課率まで是正し、既に支払われた金員との差額を支払うこと、並びに文書手交を命じ、会社が昭和55年 4月度の賃金支払時以降控除している別件に係る緊急命令申立ての認容決定に基づく是正額(49年度、50年度の是正額)を付加した金額を基準に算定したバック・ペイを求める申立てについては棄却した。 
命令主文  1 被申立人日本サーキット工業株式会社は、申立人X1を昭和47年10月上旬ころに技術グループが所掌していた業務を担当している部署に配属し、正常な業務に就かせなければならない。
2 被申立人日本サーキット工業株式会社は、昭和54年度、同55年度及び同56年度の各賃上げ、夏季一時金及び年末一時金の考課における申立人X1の考課率を一般従業員の平均考課率まで是正し、是正前の考課率を基礎として既に支払われた金員と考課率の是正に伴い支払うべき金員との差額を、同人に速やかに支払わなければならない。
3 被申立人日本サーキット工業株式会社は、申立人X1に対し、下記文書を本命令書交付の日から7日以内に手交しなければならない。
              記
 会社が行った次の行為は、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると愛知県地方労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(1) 貴殿を他の従業員から隔離した職場環境に置いて適切な仕事を与えなかったこと。
(2) 昭和54年度、同55年度及び同56年度の各賃上げ、夏季一時金及び年末一時金の考課において、貴殿の評定点を社内最低としたこと。
  昭和 年 月 日
   X1殿
              日本サーキット工業株式会社
                代表取締役 Y1
4 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1202 考課査定による差別
昭和54年度から同56年度の各賃上げ、夏季一時金及び年末一時金について、申立人X1の考課の評定点を常に社内最低としたことが不当労働行為とされた例。

1302 就業上の差別
企業支部組合の中核的活動家である申立人X1を、他の従業員から隔離した状態のもとで、全体として業務上の必要性に乏しい翻訳業務に従事させたり、または、長期間にわたり仕事を与えないなど異常な職場環境に置いたことが不当労働行為とされた例。

4413 給与上の不利益の場合
昭和54年度から56年度までの賃金、一時金の低査定の救済として、管理監督者を含め、かつ、女子を除いた従業員の平均考課率までの救済と、更に、その救済にあたっては、55年3 月度の基本給に別件に係る緊急命令に基づく是正額(49年度、50年度の差別是正額)を付加した金額を基準に算定したバック・ペイを求める申立てにつき、一般従業員の平均考課率でもって救済することが相当であり、その他の主張は採用できないとされた例。

4421 文書掲示等を命じた例
職務及び賃金の差別の救済として陳謝文の掲示を求めたのに対し、文書手交をもって相当であるとされた例。

業種・規模  電気機械器具製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集73集238頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
名古屋地裁昭和58年(行ウ)第8号 請求の棄却  平成 1年 9月 8日 判決 
名古屋地裁昭和58年(行ク)第6号 全部認容  平成 1年 9月 8日 決定 
名古屋高裁平成 1年(行コ)第14号 控訴の棄却  平成 4年 7月16日 判決 
最高裁平成 4年(行ツ)第163号 上告の棄却  平成 7年12月19日 判決 
 
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