労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大手前高等(中)学校 
事件番号  香川地労委昭和53年(不)第1号 
申立人  香川県大手前高等(中)学校教職員組合 
被申立人  学校法人 倉田学園 
命令年月日  昭和57年 6月25日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  始業時刻前の職員室における組合のビラ配布を理由に前執行委員長を訓告及び戒告処分に付したこと、団交の場において校長が組合を誹謗中傷したこと、執行委員長を学級担任からはずしたこと、組合員X1に対し伯父を通じて退職勧奨を行ったこと、特別教育「小六セミナー」及び組合掲示板の設置等に関する団交を拒否したことが争われた事件で、前執行委員長に対する訓告及び戒告処分の撤回、学級担任の決定に当たっての差別の禁止と執行委員長の速やかなる学級担任への復帰、組合員X1に対する退職勧奨による組合運営への支配介入の禁止及び組合掲示板の設置についての誠意ある団交の実施を命じ、陳謝文の掲示及び「小六セミナー」に関する団交応諾については、申立てを棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人学園は、本件申立時申立人組合の執行委員長であったX2に対する、無許可ビラ配布を理由とした昭和53年5月9日付の訓告処分及び同年5月16日付の戒告処分を撤回しなければならない。
2 被申立人学園は、学級担任の決定に当って、申立人組合執行委員長X3を、組合員である故をもって他の教員と差別することなく、速やかに同人を学級担任に復帰させなければならない。
3 被申立人学園は、申立人組合組合員X4に対し組合員である故をもって退職を勧奨することにより、組合の運営に支配介入してはならない。
4 被申立人学園は、組合掲示板の設置について、誠意をもって団交交渉に応じなければならない。
5 申立人組合のその余の申立ては、棄却する。 
判定の要旨  0200 宣伝活動
組合が朝礼前に職員室内でビラ配布を行ったことについて、学園の業務遂行上、施設管理上また職場秩序保持上も特に支障を及ぼしたとは認められず、組合活動として正当の範囲を逸脱したものではないとされた例。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
執行委員長を学級担任からはずしたことが、同人の組合活動を嫌悪してなされた不当労働行為とされた例。

1400 制裁処分
1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
前執行委員長に対する始業前の職員室におけるビラ配布を理由とする訓告、戒告処分につき、ビラ配布が正当な組合活動である以上、これを問責することはできず、不当労働行為であるとされた例。

2242 回答なし
組合掲示板設置に関する団交につき、学園が「学園内には適当な場所がない」等の回答に終始するだけでは誠実に努力する義務を果たしたとは言えないことから、不当労働行為であるとされた例。

2612 従業員の親族・保証人・友人の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合員X4に対し伯父を通じて行った退職勧奨が、組合員であることを嫌って同人を学園から排除することを目してなされた不当労働行為であるとされた例。

4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
学園の組合員X4に対する退職勧奨が、本件申立以降結審までの間引き続いて行われているばかりでなく、今後も繰り返されるおそれがあることから、その禁止を命じるのが相当であるとされた例。

2306 便宜供与
学校施設を利用しての特別教育「小六セミナー」に関する組合からの団交要求について学園が拒否したことにつき、同セミナーには組合員は参加していないことなどから、直ちに不当労働行為とは言えないとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
団交席上における校長の発言が組合に対する誹謗中傷を意図したものであるとしても、これをもって直ちに組合の運営に影響を及ぼす支配介入とまではいえないとされた例。

3020 組合活動への制約
組合掲示板の設置問題については、労使で交渉を重ねるのが妥当であり、設置を認めないことをもって直ちに支配介入になるとまではいえないとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集71集502頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
高松地裁昭和57年(行ウ)第3号 請求の棄却  昭和62年 8月27日 判決 
高松高裁昭和62年(行コ)第4号 一審判決の全部取消し  平成 3年 3月29日 判決 
最高裁平成 3年(行ツ)第155号 控訴審判決の一部破棄自判  平成 6年12月20日 判決 
高松高裁平成 7年(行コ)第2号 控訴の棄却  平成 7年12月22日 判決 
最高裁平成 8年(行ツ)第82号 上告の棄却  平成 9年 2月13日 判決 
 
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