労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大手前高松高等(中)学校 
事件番号  最高裁平成 3年(行ツ)第155号 
上告人  香川県地方労働委員会 
被上告人  学校法人  倉田学園 
判決年月日  平成 6年12月20日 
判決区分  控訴審判決の一部破棄自判 
重要度   
事件概要  本件は、始業時刻前の職員室における組合のビラ配布を理由に前執行委員長を訓告及び戒告処分に付したこと、組合掲示板の設置等に関する団交を拒否したこと等をめぐって争われた事件である。香川地労委(昭53(不)1.57.6.25 決定)は、(1)前執行委員長X1に対する無許可ビラ配布を理由とした訓告及び戒告処分の撤回、(2)執行委員長X2に対する学級担任の復帰、(3)組合員X3に対する退職を勧奨することによる組合運営の支配介入の禁止、(4)組合掲示板の設置についての団交応諾を命じたところ、学園はこれを不服として行訴を提起した。第一審高松地裁(昭和57(行ウ)3.62.8.27判決)が、地労委の救済命令を支持して、学園の請求を棄却したため、学園が控訴したところ、高松高裁(昭和62(行コ)4.平成3.3.29判決)は学園の控訴を認容し、地裁判決を取り消したため、香川地労委が上告していたところ、最高裁は原判決を破棄し、退職勧奨に関する部分だけ高松高裁に差戻し、その余については学園の控訴を棄却した。 
判決主文  1 原判決を破棄する。
2 被上告人の本訴請求中、香労委昭和53年(不)第4号不当労働行為救済申立事件について 上告人のした昭和57年 6月25日付命令の主文第 3項に関する部分(退職勧奨関係)につき、 本件を高松高等裁判所に差し戻す。
3 その余の部分につき被上告人の控訴を棄却する。
4 前項の部分に関する控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする。 
判決の要旨  1400 制裁処分
始業時刻前に職員室でビラを配布したことを理由として組合の委員長を訓告及び戒告の懲戒処分に対したことが不当労働行為であるとされた例

2306 便宜供与
組合掲示板の貸与要求に関する団交申入れに対して、教育的配慮から学園の校舎内に組合掲示板の設置は認められないとの理由で組合と実質的な団交を行わなかったことが不当労働行為に当たるとされた例

1302 就業上の差別
組合の執行委員X2を特段の事情がないにもかかわらず学級担任に選任しなかったことは、X2の組合活動を嫌悪して行った不利益取扱いに当たるとされた例

6310 違法判断の基準時
組合の組合員X3に対する学園理事長の退職勧奨の言動が支配介入に当たるとした一審の認定した経緯と全く時点を異にする事実を認定して、それが不当労働行為意思に基づくものでないとした原審の判断は、当事者の主張につき判断を示さないまま被上告人の請求を認容したものであって、審理不尽、判断違脱の違法が明らかであるとして、原審に差し戻された例

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集29集344頁 
評釈等情報  最高裁判所民事判例集 48巻 8号 1496頁 
最高裁判所裁判集民事  173号  567頁 
ジュリスト 香川 孝三 1081号  125頁 
中央労働時報 土田 道夫  909号  7頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
香川地労委昭和53年(不)第1号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和57年 6月25日 決定 
高松地裁昭和57年(行ウ)第3号 請求の棄却  昭和62年 8月27日 判決 
高松高裁昭和62年(行コ)第4号 一審判決の全部取消し  平成 3年 3月29日 判決 
高松高裁平成 7年(行コ)第2号 控訴の棄却  平成 7年12月22日 判決 
最高裁平成 8年(行ツ)第82号 上告の棄却  平成 9年 2月13日 判決 
 
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