労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  富里商事 
事件番号  千葉地労委 昭和56年(不)第3号 
申立人  ノースウェスト航空日本支社労働組合 
被申立人  富里商事 株式会社 
命令年月日  昭和57年 2月 3日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  申立人組合及び当該組合のホテル支部が連名で、賃上げ等を含む労働協約の締結を要求する春闘要求書に関して団交を申入れたところ、会社側が、(1)ホテル支部組合員は、組合規約に規定するように組合に個人加入したものではなく、正式に組合員とはなっていない、(2)組合のホテル支部はその結成に関する組合規約の改正がなされておらず組合の支部ではない、こと等を理由に団交を拒否したことが争われた事件で、団交応諾、本件と同一理由による団交拒否の禁止及び陳謝文の手交及びホテル従業員食堂への掲示を命じ、陳謝文のホテル正面玄関への掲示並びに新聞広告掲載については申立てを棄却した。 
命令主文  主     文
1 被申立人は、申立人が昭和56年3月31日に申し入れた同月9日付けの、' 81年春闘要求書に基づく団体交渉に速やかに、かつ、誠意をもって応じなければならない。
2 被申立人は、今後申立人が団体交渉を申し入れた場合次の事項を理由としてこれを拒否してはならない。
(1) 申立人のホテル支部組合員は、申立人に個人加入したものではなく申立人の組合員ではない。
(2) 申立人のホテル支部は、その結成に関する組合規約の改正がなされておらず申立人の支部ではない。
(3) 申立人のホテル支部は、その組合規約を提出しない。
(4) 申立人のホテル支部の役員は、その選出方法が申立人の組合規約に違反しており正式なものではない
(5) 申立人と申立人のホテル支部との連名による団体交渉申入れは、団体交渉の主体が明確でない。
3 被申立人は、本命令交付後1週間以内に下記文言を記載した文書を申立人の代表者に交付するとともに、同文書を縦1メートル、横2メートルの白紙の全面にかい書で明りょうに墨書し、被申立人の経営する成田インターナショナルホテル(千葉県印旛郡富里村七栄650-35所在)の従業員食堂の壁の見やすい位置に10日間き損することなく掲示しなければならない。
                記
             陳  謝  文
 当社は、貴組合が昭和56年3月31日に申し入れた同月9日付けの' 81年春闘要求書に基づく団体交渉を拒否しましたが、このことが労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると千葉県地方労働委員会により認定されました。
 当社は、このことを貴組合に対し深く陳謝するとともに、今後再びこのようなことをしないことを固く約束いたします。
  昭和 年 月 日
 ノースウェスト航空日本支社労働組合
 中央執行委員長 X1 様
            富里商事株式会社
            代表取締役 Y1
(注:年月日は、交付文書にあっては交付の日付を、掲示文書にあっては示の日付をそれぞれ記載すること。)
4 その余の申立は棄却する。 
判定の要旨  2122 非組合員
申立人組合のホテル支部の組合員は、組合規約どおり組合に個人加入したものではなく、組合の組合員ではないとして団交を拒否したことにつき、それぞれが個人加入しており、団交拒否は理由がないとされた例。

2113 交渉団体として不適格
申立人組合のホテル支部についてはその結成に関する組合規約の改正がなされておらず組合の支部にはなっていないとして団交を拒否したことにつき、組合は支部を承認しており、団交拒否の正当理由にはならないとされた例。

2210 組合員名簿・組合規約不提出
組合規約には、支部は本規約に準拠して支部規約を制定するものとされているのに、ホテル支部はその組合規約を提出しないとして団交を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。

2113 交渉団体として不適格
全員一致の拍手をもって組合のホテル支部の役員を選出したことが、役員は組合員の直接無記名投票により選出する旨規定している組合規約に違反するとして、団交を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。

2113 交渉団体として不適格
組合と組合のホテル支部との連名による団交申入れは団交の主体が明確でないとして団交を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。

2241 他の係争事件の存在
会社管理職による脱退工作に関する団交拒否問題が地裁に行政訴訟事件として係属中であることを理由に、同問題についての団交を拒否したことが不当労働行為であるとされた例。

4505 その他
団交拒否の救済方法として組合は陳謝文のホテル正面玄関への掲示及び新聞広告掲載を求めているが、陳謝文の手交及びホテル従業員食堂への掲示でたりるとされた例。

業種・規模  旅館、その他の宿泊所 
掲載文献  不当労働行為事件命令集71集166頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 昭和57年(不再)第8号 一部変更(初審命令を一部取消し)  昭和58年 8月 3日 決定 
東京地裁 昭和58年(行ク)第103号 全部認容  昭和59年 2月 7日 決定 
東京地裁 昭和58年(行ウ)第138号 請求の棄却  昭和59年10月18日 判決 
東京高裁 昭和59年(行コ)第63号 控訴の棄却  昭和60年 7月 3日 判決 
最高裁 昭和60年(行ツ)第173号 上告の棄却  昭和61年 1月24日 判決 
 
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