労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  あけぼのタクシー 
事件番号  福岡地労委昭和53年(不)第24号 
福岡地労委昭和54年(不)第25号 
申立人  あけぼのタクシー労働組合 
被申立人  あけぼのタクシー 有限会社 
命令年月日  昭和56年 6月23日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  緊急命令により職場復帰した委員長及び書記長に対し誓約書の再提出拒否等を理由に数回にわたり出勤停止処分に付したこと、組合員X1に対し無線応答拒否その他の勤務怠慢等を理由に数回にわたり出勤停止処分に付し、さらに反省の態度が見られないとして懲戒解雇したこと、その他組合黒板の設置拒否、社長懇談会への委員長らの出席拒否、団交中の録音を理由とする団交拒否、交通反則金の会社負担分の支払い拒否、親睦会主催の慰安旅行及び忘年会への参加拒否等が争われた事件で、委員長及び書記長に対する出勤停止処分の撤回とバック・ペイ、組合員X1に対する出勤停止処分及び懲戒解雇処分の撤回とバックペイを命じ、X1の処分のうち無線応答に基づく部分、組合黒板の設置拒否、社長懇談会への出席拒否、慰安旅行及び忘年会への参加拒否、団交拒否、反則金の会社負担分の支払い拒否、申立費用の支払い、ポスト・ノーティス等については申立てを棄却した。 
命令主文  1  被申立人は、申立組合員X2に対してなした(1)昭和53年3月16日付、(2)同年3月19日付、(3)同年3月26日付、(4)同年4月23日付、(5)同年6月2日付各出勤停止処分及び同X3に対する(1)昭和53年3月18付、(2)同年3月20日付、(3)同年4月22日付各出勤停止処分を撤回し、このような処分がなかったものとして取扱い、X3に対する(1)の分を除き、両名に対し同処分がなければ受けるはずであった賃金相当額を支払わなければならない。
2 (1) 被申立人は、申立組合員X1に対する(1)昭和53年3月14日付3箇月間、(2)同年6月16日付4日間、(3)同年6月30日付2日間、(4)同年7月21日付7日間、(5)同年7月30日付3箇月間の各出勤停止処分を撤回し、このような処分がなかったものとして取扱い、同処分がなければ受けるはずであった賃金相当額を同人に支払わなければならない。
 (2) 被申立人は、申立組合X1に対する昭和54年3月28日付懲戒解雇処分を撤回し、原職に復帰させるとともに、同処分がなかったものとして取扱い、同処分がなければ受けるはずであった賃金相当額を同人に支払わなければならない。
3  申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  0900 不正行為
1400 制裁処分
3700 使用者の認識・嫌悪
組合員X1がチャージ(メーターを倒さずに料金を着服)をしたことなどを理由に数回にわたって最高3カ月の出勤停止処分に付したこと及びそれらの処分にかかわらず反省の態度がないことを理由に懲戒解雇したことにつき、無線応答拒否を理由とする出勤停止処分を除いて、同人の組合活動を嫌悪した不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
緊急命令により職場復帰した委員長及び書記長について、新たな誓約書を提出しないことなどを理由に数回にわたって出勤停止処分に付したことが不当労働行為にあたるとされた例。

1302 就業上の差別
腰部神経痛で2カ月間休業していた組合員X1について、指定病院の診断及び事故対策センターの適性検査を受けるまでの間タクシーに乗務させなかったことにつき、会社に非難さるべき点はないとして申立てを棄却した例。

1400 制裁処分
配車係との個人的トラブルからこれらからの無線呼び出しに一切応じないとの意向を示した組合員X1を1カ月の出勤停止処分にしたことにつき、X1の行為は重大な業務上の指示命令違反であり、処分は不当労働行為にあたらないとされた例。

2230 不穏当な態度
組合が団交中の発言を録音しようとしたことを理由に団交拒否したことにつき、団交方法について意見調整がつかなかったものであり、不当労働行為にはあたらないとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合所有の黒板が紛失したため、従前の位置への設置を要求したことに対し、これを拒否したことが不当労働行為であるとする申立てが棄却された例。

2803 その他
交通違反を犯し反則金を支払った委員長らに会社が50%負担しなかったことにつき、会社は本人らと協定を結んでいる限り負担するものであり、協定していない同人らに支払いをしなくても不当労働行為にはならないとされた例。

2802 福利厚生資金に関する寄付・貸付等
申立組合の委員長らを親睦会主催の慰安旅行及び忘年会に参加させなかったことにつき、会社の主催でもなく、組合主催で会を行うなら同等の負担をすると会社がいっていることからみて、不当労働行為にはならないとして費用相当額の支払申立てを棄却した例。

1601 福利厚生上の差別
社長懇談会の開催にあたり委員長らの出席を拒否したことにつき、その懇談会内容からして不当労働行為とはいえないとされた例。

4422 その他
5008 その他
不当労働行為事件に関する一切の費用の支払いを求める申立てが棄却された例。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  不当労働行為事件命令集69集539頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
福岡地裁昭和56年(行ク)第5号 全部却下  昭和57年 2月 1日 決定 
福岡地裁昭和56年(行ウ)第16号 請求の棄却  昭和58年12月27日 判決 
福岡高裁昭和59年(行コ)第2号 控訴の棄却  昭和61年 3月26日 判決 
最高裁昭和61年(行ツ)第109号 上告の棄却  昭和62年 4月16日 判決 
 
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