概要情報
事件名 |
金産自動車 |
事件番号 |
石川地労委昭和48年(不)第1号
石川地労委昭和48年(不)第2号
石川地労委昭和48年(不)第3号
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申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部 |
申立人 |
日本労働組合総評議会全国金属労働組合石川地方本部金産自動車工業支部 |
被申立人 |
金産自動車工業 株式会社 |
命令年月日 |
昭和48年12月17日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、上部組合役員の入構および上部組合との団交を拒否し、職制により組合脱退を勧奨した事件で、いずれも不当労働行為であると判断して、団交拒否の禁止、ポストノーティスを命じた。 |
命令主文 |
1被申立人は、下記の文書を申立人に提出するとともに、本命令書交付の日から7日以内に、同内容の文章を縦1メートル、横 1.5メートルの大きさの模造紙に墨書し、被申立人会社金産自動車工業株式会社本社工場の従業員の常時出入りする入口及び食堂に継続して10日間掲示しなければならない。 記 会社は昭和48年3月3日以降、会社の部課長等の全国金属労働組合金産自動車工業支部の組合員に対する組合脱退及び新組合結成加入推進の行動を会社が許容したことは、不当労働行為であったことを認め、今後かかる行為はいたしません。以上石川県地方労働委員会の命令により誓約いたします。 昭和 年 月 日 総評全国金属労働組合石川地方本部 執行委員長 X1 殿 総評全国金属労働組合石川地方本部 金産自動車工業支部 執行委員長 X2 殿 金産自動車工業株式会社 代表取締役社長 Y1 2 被申立人は、前項の命令実施後、すみやかに履行状況を当委員会に文書をもって報告しなければならない。 3 被申立人は、総評全国金属労働組合から申入れのあった昭和48年3月10日付団体交渉を拒否してはならない。 4 被申立人は、全金金産支部から申入れのあった昭和48年3月20日付団体交渉を拒否してはならない。 5 申立人のその余の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2123 その他交渉出席者
2215 上部団体参加否認
従来の慣行および唯一交渉団体約款を理由に上部団体との団交を拒否したことは、組合分裂により組合員数が減少して交渉能力が弱体化し、団交が難航していた時期であり、かつ、上部団体は固有の団交権を組合の要請により行使していたものであることから、正当とはいえない。
2300 賃金・労働時間
会社が、時間外労働に関する団交を拒否したことは、団交申入れを受けながら団交対象とならないと一方的に判断して全く団交を開かなかったものであり、正当事由に基づくものとはいえない。
2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
課長Y2が組合員X3に、組合および組合役員の批判など述べたことは、両者が平素より親しい関係にあるとはいえ、組合員の大量脱退の直前になされていることからみて、同人を組合から脱退させ、別組合へ加盟させることを意図した不当労働行為である。
3020 組合活動への制約
会社が、オルグとして出席しようとした上部組合役員らの入構を拒否したことは、過去の行動の中に行き過ぎがみられたとしても当然に拒否し得る合理的な理由とすることはできず、今まで慣例を破り急に入構拒否の強い方針を出していることからみて、トラブル発生の危惧に藉口した不当労働行為である。
3104 別組合利用・別組合員宅訪問
3410 職制上の地位にある者の言動
Y3次長が深夜組合員とともにX4組合員宅を訪れたことは、その時期から単なる個人的関係からの道案内を目的とした行為とみることは不自然であり、別組合員の組合分裂工作のための訪問と知りながら同行したものであり、組合分裂工作に加担した不当労働行為である。
3410 職制上の地位にある者の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
管理職、職制の行なった組合分裂工作について、会社とこれら管理職、職制との間に意思の疎通がなかったとしても、会社は、同人らの行為を阻止する努力をせずに、むしろこれを利用する意思をもっていたと推認されることから、不当労働行為を構成するものと判断する。
4823 上部団体
上部団体への加入について、上部団体が規約所定の手続を簡略化し、組合一括加盟を承認している以上これを認めざるを得ない性質のものであり、組合員の個人加盟の手続がない限りこれを認めないとする会社主張は採用しがたい。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集52集191頁 |
評釈等情報 |
労働法律旬報 1974年10月10日 866号 82頁 
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