概要情報
事件番号・通称事件名 |
東京地裁令和4年(行ク)第226号
ワットラインサービス緊急命令申立事件 |
申立人 |
中央労働委員会 |
被申立人 |
Y会社(「会社」) |
決定年月日 |
令和6年4月25日 |
決定区分 |
緊急命令申立認容 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、会社と個人請負契約を締結して電気メーターの取替工事等(「計器工事」)に従事する作業者(「計器工事作業者」)が結成したC3分会とその上部団体であるC1地本及びC2組合(併せて「本件組合ら」)が連名で、会社に対し、①平成31年度の計器工事件数の割当て等を議題とする団体交渉申入れをし、また、②会社から提示された請負契約書が従来の契約の不利益変更であるとしてこれに係る団体交渉申入れをしたところ、会社が、本件組合らは会社が雇用する労働者の代表ではないとして、これに応じなかったことが、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審東京都労委は、計器工事作業者は労組法上の労働者に当たることから、会社が団体交渉申入れに応じなかったことが、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるとして、会社に対し、団体交渉の応諾及び文書の交付・掲示並びに履行報告を命じたところ、会社は、これを不服として再審査を申し立てた。
3 中労委は、本件申立てを棄却したところ、会社は、これを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起した。
4 中労委は、会社が、本件再審査命令書(写)の交付後も同命令主文を任意に履行する態度を示しておらず、仮に本案行政訴訟事件において会社の請求が棄却され、その判決が確定したとしても、その確定までの間、当該命令が履行されない状態が継続することになれば、会社の団体交渉拒否によって生じた本件組合らの団結権及び団体交渉権の侵害が継続し、その回復をより困難なものとし、労働組合法の趣旨、目的に反する結果となるとして、団体交渉応諾を求めて緊急命令を申し立てた。
5 東京地裁は、中労委の申立てを認容した。なお、同地裁は、本決定日と同日、本案事件について会社の請求を棄却している。 |
決定主文 |
1 被申立人は、被申立人を原告、国を被告とする当庁令和4年(行ウ)第220号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決の確定に至るまで、申立人が中労委命令令和2年(不再)第9号事件によって維持するものとした、東京都労委平成30年(不)第93号事件に対する東京都労働委員会の令和2年2月4日付け命令(同年3月4日交付)の主文1項に従い、C1地本、C2組合及びC3分会(以下「本件組合ら」という。)が、①平成30年12月7日及び同月12日に申し入れた団体交渉、②同月26日及び平成31年1月3日に申し入れた団体交渉に応じなければならない。
2 申立費用は、被申立人の負担とする。 |
決定の要旨 |
中労委が上記東京都労委命令を維持するものとした中労委命令令和2年(不再)第9号事件の令和4年4月6日付けの命令(以下「本件命令」という。)は、その認定及び判断において、おおむね正当であり、適法であると認められる。
そして、不当労働行為との関係において、いまだ正常な集団的労使関係は回復されておらず、本件命令の取消請求事件の判決が確定するまでこのような状態が継続した場合、本件組合らの団体交渉権及び団結権の侵害が進行し重大な損害が生ずる恐れがあると認められるから、緊急命令の必要性があるといえる。 |
その他 |
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