概要情報
事件名 |
関西馬丁労組 |
事件番号 |
京都地裁昭和35年(行)第12号
|
原告人 |
調教師Y |
被告 |
京都府地方労働委員会 |
判決年月日 |
昭和37年5月2日 |
判決区分 |
全部取消 |
重要度 |
|
事件概要 |
1 ストライキに参加した組合員である馬丁に対して、雇用主である調教師Yが担当馬を取り上げ、非組合員である馬丁に担当替えとし、その後、持ち馬がなくなったことにより休職を命じたことが、不当労働行為に当たるとして京都地労委に救済申立てがあった事件である。
2 京都地労委は、ストライキに参加した5名の馬丁のうち、X1から持ち馬を取り上げた行為は不当労働行為に当たるとして、文書の手交を命じ、その余の申立てを棄却した。
X組合は、これを不服として、再審査を申し立てたところ、中労委はこれを棄却した。
一方、本件は、調教師Yが京都地労委命令を不服として、京都地裁に行政訴訟を提起した事件であるが、同地裁は京都地労委の救済命令を取り消した。
|
判決主文 |
1 被告が、申立人日本中央競馬関西馬丁労働組合、被申立人原告間の京労委昭和34年(不)第22号救済申立事件につき、昭和35年11月18日付でなした別紙第1の命令のうち第1項を取消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
|
判決の要旨 |
1 組合活動及び不利益処分の存否
X組合が昭和34年11月19日ストライキ(以下「スト」という。)を行なったこと、このストに原告の被使用者で、当時X組合に加入していたX1、X2等5名が参加したこと、同年12月1日原告はX1から担当馬Aをとりあげ、これを原告厩舎の非組合員の馬丁に担当させたことは当事者間に争がなく、馬丁の給料は昭和34年2月までは持馬の頭数にかかわらず同じであったが、同年3月から組合の申入により持馬の頭数によって本人給に差額を生ずるようになり、X1は持馬Aを取上げられたことにより減収となり不利益を蒙ったことが認められる。
2 組合活動(右スト)と不利益な処分(X1から持馬Aを取上げること)との間の因果関係の有無
ストは当日午後4時に終了したが、X1は拡声器係として命令伝達施設を担当していたのであるから、スト解除の指令も、その発令直後に了知していたものと推認せられる。しかるにX1は、スト解除後も終日厩舎に戻らず、午後5時の飼付及び午後8時の水飼、投草を怠った。
これを聞いた馬主は、憤慨し、あくまでX1に持馬Aの担当をやめさせるように要請し、もし原告がこの要請に応じなければ、Aを他の厩舎に預託替えするか売却する旨いうて意思をまげなかったので、遂に原告は、馬主の右要請を容れ、同年12月1日AをX1から非組合員の馬丁に担当替した。
してみると、馬主が原告をして、X1にAの担当をやめさせるよう要請した理由は、X1がストに参加したこと自体にあったのではなく、同人がストが終わったのにも拘わらず生物であるAに飼付、水飼、投草をしなかったことにあるというべきであり、原告もまた、馬主の右要請を道理にかない、それ故にこそ抗し難いものと認めてX1にAの担当をやめさせたものというべきである。
してみると、原告がX1をAの担当をやめさせた原因は、同人がストに参加して正当な組合活動をなしたことにあるとは認め難く、したがって原告がX1をしてAの担当を解いた行為は、不当労働行為にはならない。
3 よって、右の点を看過して、原告の右行為を労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為に該当するものと認めて、京都地労委がなした救済命令は、爾余の判断をなすまでもなく失当であるから、これを取消す。
|
業種・規模 |
|
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
  |