概要情報
事件名 |
魚沼中央自動車学校 |
事件番号 |
横浜地裁平成19年(行ウ)第30号
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原告 |
株式会社ショウ・コーポレーション(平成19年4月に株式会社魚沼中央自動車学校から商号変更) |
被告 |
神奈川県(処分行政庁:神奈川県労働委員会) |
被告補助参加人 |
神奈川県自動車教習所労働組合 神奈川県自動車教習所労働組合湘南ドライビングスクール支部 個人3名 |
判決年月日 |
平成22年6月22日 |
判決区分 |
棄却(一部却下) |
重要度 |
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事件概要 |
1 自動車の運転教習業等を目的とするY1会社が、①閉校したY2自動車教習所の指導員であったX1、X2、X3を解雇し、開校したY3自動車教習所に採用しなかったこと、及び②支部組合からの団体交渉申入れを拒否したことが、不当労働行為に当たるとして、神奈川県労委に救済申立てがあった事件である。
2 神奈川県労委は、①X1、X2、X3について開校したY3自動車教習所で指導員として採用し、就労していたものとしての取扱い及びバックペイ、②誠実団交応諾、③これらに関する文書の手交を命じ、その余の申立てを棄却した。
本件は、これを不服として、Y1会社が横浜地裁に行政訴訟を提起した事件であるが、同地裁はY1会社の請求を棄却(一部却下)した。
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判決主文 |
1 神奈川県労委が神労委平成17年(不)第7号事件について平成19年3月19日付けでした命令中、以下の部分の取消しを求める訴えをいずれも却下する。
(1) 同命令の主文第1項(1)及び(2)のうち、X3に関する平成19年2月1日以降の期間に係る部分
(2) 同命令の主文第4項に係る部分(救済命令の申立人らのその余の請求を棄却した部分)
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、補助参加によって生じた費用を含め、原告の負担とする。
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判決の要旨 |
1 争点(1):神奈川県労委による本件命令の主文第4項の取消請求に係る訴えの適法性
本件命令の主文第4項は、組合員らの救済申立てのうち、本件命令の主文第1項ないし第3項に係る部分以外の救済申立てを棄却したものであるから、本件命令の主文第4項に係る部分は、原告にとって本件命令を取り消すことにより回復すべき法律上の利益がない。したがって、本件訴えのうち本件命令の主文第4項の取消請求に係る部分は、訴えの利益を欠くことが明らかであり、不適法であるから、却下すべきである。
2 争点(2):組合員らに対する原告の使用者性(労組法7条)の有無
Y1会社とX1らを含むY2自動車教習所の従業員との間で、平成15年10月10日、Y2自動車教習所とその従業員との間の労働契約が終了し、Y2自動車教習所での業務が終了した時点でY3自動車教習所で雇用するとの始期付き労働契約が成立し、これに基づきX1らについては、平成17年2月25日当該労働契約の効力が発生したものと判断する。
したがって、Y1会社は、X1らとの関係で労組法7条の「使用者」に該当すると認められるから、この点に関する本件命令の認定及び判断は、結論において相当であり、取り消し得べき違法性があるとは認められない。
3 争点(3):X3の定年に伴う本件命令取消しの可否
X3は平成19年1月4日をもって満60歳となり、Y1会社の就業規則に基づき同日退職になったと認められるから、遅くともY1会社が主張する同年2月1日以降、労働契約上の権利を有する地位にあると認めることができない。
X3は遅くとも平成19年1月31日をもってY1会社を退職したと認められるから、本件命令の主文第1項のうちX3に係る同年2月1日以降の期間に関する部分は、X3の退職によってその基礎を欠くに至り、Y1会社に対する拘束力を失ったというべきであり、Y1会社には当該部分を取り消すことにより回復されるべき利益がない。
したがって、本件命令の主文第1項のうち前記部分の取消請求に係る訴えは、訴えの利益を欠くものとして却下すべきである。
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業種・規模 |
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掲載文献 |
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評釈等情報 |
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