概要情報
事件名 |
光仁会(懲戒処分) |
事件番号 |
東京高裁平成21年(行コ)第121号 |
控訴人 |
医療法人光仁会 |
被控訴人 |
国(処分行政庁 中央労働委員会) |
被控訴人補助参加人 |
全国一般労働組合長崎地方本部長崎地区合同支部 |
判決年月日 |
平成21年8月19日 |
判決区分 |
棄却 |
重要度 |
重要命令に係る判決 |
事件概要 |
本件は、Y医療法人(以下「Y法人」)が、①X組合の分会長X1に対し、同人が平成16年度夏期一時金交渉中に、Y法人の許可なく病院施設に組合旗を設置したことを理由として、停職3か月の懲戒処分に付したこと、②同懲戒処分に関する団体交渉に応じなかったこと等が不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。
初審長崎県労委は、本件申立てを棄却し、中労委は、初審命令を変更して、懲戒処分がなかったものとして取扱い、バックペイ及び上記②に関しての文書手交を命じ、X組合のその余の再審査申立てを棄却した。
Y法人は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、法人の請求を棄却した。Y法人は、同地裁判決を不服として、東京高裁に控訴したが、同高裁は、Y法人の控訴を棄却した。
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判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
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判決要旨 |
1 本件懲戒処分が労組法7条3号の不当労働行為に当たるか(争点1)
当裁判所も、本件組合旗設置を正当な組合活動ということはできず、Y法人がこれについて懲戒処分を行うこと自体は不相当とはいえないが、本件懲戒処分(停職3ヶ月等)は、懲戒事由(本件組合旗設置)比して著しく過重であって、相当性を欠くものであり、また認定の事実関係からすると、Y1理事長に交替した後の労使関係においてはY法人のX組合に対する嫌悪を十分に推認できるのであるから、本件懲戒処分は、X組合に対する嫌悪を主たる動機として、分会長であるX1に対して著しく過重なものとして科されたものと認めるのが相当であり、労組法7条3号の不当労働行為に当たるものと判断する。
2 本件事前団体交渉拒否が労組法7条2号の不当労働行為に当たるか。(争点2)
懲戒処分の基準及び手続は、労働条件その他の待遇に関する事項であり、義務的団体交渉事項に該当する。認定の事実関係からすると、本件病院敷地内に組合旗を設置してことを理由する懲戒処分については、処分の基準が不明確であり、同様の処分の先例もなかったのであるから、懲戒処分に関して事前協議を行う旨の労使協定が存在しなくとも、Y法人はX組合からの本件事前団体交渉の申入れに応じなければならない義務があり、いかなる懲戒処分をするかまだ決定していないことや懲戒処分後に団体交渉に応じることをもって団体交渉拒否を正当化することはできないというべきある。したがって、本件事前団体交渉拒否は労組法7条2号に当たるものである。
以上によれは、本件懲戒処分、本件事前団体交渉拒否がそれぞれ不当労働行為に当たるとした本件救済命令が違法であるということはできず、Y法人の請求には理由がない。
よって、Y法人の請求を棄却した原判決は相当である。
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