事件名 |
明治乳業 |
事件番号 |
東京地裁平成14年(行ウ)第132号
|
原告 |
X1 外30名 |
被告 |
中央労働委員会 |
参加人 |
明治乳業株式会社 |
判決年月日 |
平成16年 5月31日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
会社が、申立外組合の組合員X1外31名の昭和55年度から昭和
60年度までの昇給・昇格を差別したことが不当労働行為であるとして、X1外31名から申立てがあった事件で、東京地労委
は、申立てを却下または棄却し、中労委は、初審命令の一部を変更し、却下又は棄却したところ、相続人3名を含むX1外30名
は、これを不服として行政訴訟を提起していたが、東京地裁は、X1外30名の請求を却下又は棄却した。 |
判決主文 |
1 原告らの訴えのうち、X2に関する訴えを却下する。
2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、参加によって生じた費用を含め、原告らの負担とする。 |
判決の要旨 |
6140 訴の利益
亡X2は、再審査申立て後に死亡し、その相続人らは承継の申出をしておらず、また本件訴訟の原告にもなっておらず、本件却下
の取消しを求める利益はないと解するのが相当であり、本件訴えのうち、亡X2について取消しを求める部分は、不適法であって
これを却下するのが相当であるとされた例。
5143 不出頭・所在不明・消滅・死亡・承継
亡X3及び亡X4は、再審査申し立て後、それぞれ死亡したが、その各相続人は、労働委員会規則34条1項7号の定める期間内
に救済申立てを承継する旨申し出なかったのであるから、労働委員会が申立人が存在せず、亡X3及び亡X4の再審査申立ては審
査の対象とならないとして、その申立てを却下した判断は適法であるとされた例。
1202 考課査定による差別
5200 除斥期間
5201 継続する行為
会社が各年度の昇給又は昇格に関する人事考課に当たり、組合員らを正当な組合活動を理由として、他の組合員より低く査定した
場合には、その差別的取扱いの意図は、当該年度の賃金支払又は格付けにより具体的に実現されるのであり、会社の各年度におけ
る賃金又は昇格決定行為とこれに基づく賃金支払又は格付けは、一体として一個の不当労働行為を構成するものと解するのが相当
であるから、賃金又は昇格決定行為とこれに基づく賃金支払又は格付けが行われている限りは不当労働行為が継続していることに
なり、賃金決定行為に基づく最後の賃金支払時又は時期昇格決定行為に基づく格付けの初日の前日から1年以内になされた救済申
立てに限り、労働組合法27条2項の定める期間内になされた適法なものと解するのが相当であるとされた例。
1202 考課査定による差別
5200 除斥期間
5201 継続する行為
本件救済申立ては、昭和60年4月18日及び同61年3月19日になされているから、同59、60年度における昇給・昇格差
別に係る救済申立ては労働組合法27条2項の定める期間内になされた適法な申立てということができるが、その余の申立ては不
適法なものといわざるを得ないとされた例。
1202 考課査定による差別
申立人らが所属する市川工場において、申立人らと他の従業員との間に、昭和59、60年度の賃金又は昇格決定行為とこれに基
づく賃金支払又は格付け、人事考課成績について有意な格差は認められないこと、申立人らと事業所採用者コースで申立人らと同
性・同期・同学歴の従業員との間に有意な格差があるとは認めることができないことが、それぞれ認められ、そうだとすると、申
立人ら集団に職分・賃金について他の従業員との間に有意な格差、ひいては不利益取扱を認めるに足りる証拠がないというほかな
いから、したがって、その余を判断するまでもなく、本件においては、申立人ら主張の不当労働行為の事実は認めることができな
いとされた例。
|
業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
|
評釈等情報 |
中央労働時報 2004年11月10日 1034号 35頁
|